おめでとう。
あなたは第2章で「失敗を売る」という戦略を手に入れた。もう「作業者」ではなく「戦略家」だ。
…本当に?
胸に手を当てて、正直に答えてほしい。
クライアントへの提案書を作った後、その内容をGoogleスプレッドシートに「手動で」コピペしていないか?
メールを送るたび、同じ定型文を「手動で」打ち込んでいないか?
毎週月曜の朝、先週のデータを「手動で」整理していないか?
あなたは「戦略家」のフリをした、時給3000円の「高級コピペ作業員」に成り下がっている。
その無駄な作業に奪われた1秒1秒が、あなたの価値を下げている。あなたの可能性を削り取っている。あなたの人生を、じわじわと蝕んでいる。
この章で、その「単純作業」という名の敵を殲滅する。
武器の名は、GAS(Google Apps Script)。
ただし、これは「プログラミング講座」ではない。コードの書き方を教える記事でもない。
これは、あなたの時間を取り戻し、あなたの人生を取り戻すための、哲学だ。
あなたの時給を「800円」に引き戻す、見えざる敵の正体
想像してほしい。
あなたは今、コンサルタントとして、クライアントに時給2万円で提案をしている。素晴らしい戦略を語り、相手の目を輝かせる。
その30分後。
あなたはExcelを開き、さっきの提案内容をスプレッドシートに1行ずつコピペしている。
提案書のテキストを選択。Ctrl+C。スプレッドシートに移動。Ctrl+V。次の行。また提案書に戻る。Ctrl+C…
この瞬間、あなたの時給は「800円」に戻っている。
なぜか?
その作業は、高校生のアルバイトでもできるからだ。いや、失礼。今の高校生なら「え、それ自動化しないんですか?」と聞いてくるかもしれない。
問題は、作業そのものではない。
問題は、あなたがその「800円の作業」を、「2万円の自分」がやっていることに、気づいていないことだ。
計算してみよう。
- 毎日30分の単純作業
- 週5日 = 2.5時間
- 月20日 = 10時間
- 年間 = 120時間
120時間。
その時間で、あなたは何ができた?
- 新しいビジネスモデルを3つ考案できた
- 本を20冊読めた
- 新しいスキルを1つ習得できた
- 大切な人と、20回の深い対話ができた
でも、あなたはそれを「コピペ」に捧げた。
そして最悪なのは、その120時間が「仕事をした時間」としてカウントされ、あなたが「今日も頑張った」と自分を慰めていることだ。
「この作業、無駄かも?」と気づく力が、プログラミングスキルの100倍価値がある理由
ここで、多くの人が勘違いしていることを暴露する。
「自動化」の最大の障壁は、「プログラミングができないこと」だと思われている。
違う。
本当の障壁は、「この作業、無駄かもしれない」と気づく感覚が麻痺していることだ。
人間の脳は恐ろしい。
毎日同じ作業を繰り返すと、それを「当たり前」だと認識し始める。違和感を消す。痛みを感じなくさせる。
「まあ、そういうものだよね」と納得させる。
これは、自己防衛機能の暴走だ。
毎朝6時に起きてコピペするのが苦痛すぎると、脳が壊れる。だから脳は「これは必要な作業だ」と自分を洗脳する。
結果、あなたは「慣れた作業」を誇りに思うようになる。
「この作業、もう目をつぶってもできますよ(笑)」
それは自慢じゃない。それは、あなたの人生が自動化されている証拠だ。
プログラミングスキルなんて、正直どうでもいい。
今の時代、ChatGPTに「GASでこの作業を自動化して」と泣きつけば、コードは5秒で出てくる。(これ、マジで知らない人多すぎる)
でも、「泣きつく」という行動を起こすには、まず「この作業、クソだな」と気づく感性が必要だ。
そして、その感性を殺しているのは、あなた自身だ。
「慣れ」は敵だ。「これ、もう100回目だな」と思ったら、それは自動化のサインである
小ネタを挟む。
私の友人に、毎週金曜の夕方に「週報メール」を20件送る人がいた。
定型文。宛先だけ変える。毎週30分。
ある日、私が「それ、自動化しないの?」と聞いたら、彼はこう答えた。
「いや、もう慣れたから大丈夫。むしろリラックスタイムかも」
リラックスタイムwww
麻薬だ。
単純作業は、思考を停止させる麻薬だ。
「何も考えなくていい時間」を、人間は心地よく感じる。でも、その心地よさの代償は、あなたの創造性の死だ。
ルールを作ろう。
「これ、今週3回目だな」と思ったら、自動化を検討する。
「これ、もう100回やってるな」と思ったら、今すぐ自動化しないと、あなたの時間泥棒に対する共犯者になる。
GASは「ツール」じゃない。それは「あなたの時間を取り戻す哲学」だ
さて、ここからが本題。
GAS(Google Apps Script)とは何か?
技術的に言えば、JavaScriptベースのスクリプト言語で、Google のサービス(Gmail、スプレッドシート、カレンダー等)を自動操作できるツールだ。
でも、そんな説明はどうでもいい。
GASの本質は、こうだ。
GASは、「あなたの代わりに働いてくれる、無給の部下」を量産する魔法である。
しかも、その部下は:
- 24時間365日働く
- 文句を言わない
- ミスをしない(コードが正しければ)
- 給料を要求しない
- 勝手に辞めない
想像してほしい。
あなたが寝ている間に、Gmailに届いた「請求書」という件名のメールを自動で抽出し、スプレッドシートに整理してくれる部下。
毎月1日の朝9時に、自動でリマインドメールを送ってくれる秘書。
特定の条件を満たしたら、自動でSlackに通知を飛ばしてくれるアシスタント。
それが、GASだ。
そして、ここが最高に皮肉なんだが、この「無給の部下」を雇うのに、あなたは「プログラミング」を学ぶ必要がない。
なぜか?
AIが、あなたの代わりにコードを書いてくれるから。
なぜExcel VBAやPythonより先に「GAS」を学ぶべきなのか
ここで、よくある質問に答えておく。
「自動化なら、Excel VBAとかPythonとか、他にも選択肢ありますよね?」
ある。
でも、最初に学ぶべきはGAS一択だ。
理由は3つ。
理由1: 環境構築が「ゼロ」
Pythonを始めるには、Pythonをインストールして、ライブラリを入れて、環境変数を設定して…
めんどくさすぎる。
その時点で、9割の人が挫折する。
GASは?
Googleアカウントさえあれば、ブラウザで今すぐ書ける。終わり。
この「圧倒的な手軽さ」が、初心者にとって最強の武器になる。
理由2: Google サービスとの連携が「神」
あなたの仕事の8割は、Google サービス上で動いている。
Gmail、スプレッドシート、Googleドライブ、カレンダー、フォーム…
GASは、これら全部と「最初から仲良し」だ。
認証とかAPIキーとか、そういうめんどくさい話がほぼない。
「スプレッドシートのA列のデータをGmailで送る」が、10行で書ける。
Pythonなら?たぶん認証だけで1時間溶ける。
理由3: 「小さな成功体験」を積みやすい
プログラミング初心者が挫折する最大の理由は、「成果が見えるまでが遠い」ことだ。
「Hello World」を表示して、「で?」ってなる。
GASは違う。
「Gmailから特定のメールを抽出する」という、実用的な成果が、30分で出る。
しかも、それがあなたの実際の業務を楽にする。
この「即効性」が、あなたの脳に「自動化、マジで使えるわ」という成功体験を刻み込む。
そして、その成功体験が、次の自動化へのモチベーションになる。
プログラミングは「学ぶ」ものじゃない。「使って楽になる」ものだ。
コピペOK。あなたの「コピペ作業員」をクビにする、最初の一歩
さあ、ここからは具体的な話に入る。
ただし、繰り返すが、これは「コード解説」ではない。
コードの意味なんて、今は理解しなくていい。
大事なのは、「こんなことができるんだ!」という可能性を知ることだ。
そして、「ChatGPTに頼めば、コードは出てくる」という事実を体感することだ。
具体例1: Gmailの「特定の件名」のメールを、自動でスプレッドシートに記録する
想像してほしい。
あなたのGmailには、毎日「請求書発行完了」という件名のメールが届く。
今まで、あなたはそれを手動でスプレッドシートに転記していた。
もう、やめよう。
GASなら、こんなことができる:
- 毎朝9時に自動実行
- Gmailで「件名:請求書発行完了」のメールを検索
- 差出人、受信日時、本文の一部を抽出
- スプレッドシートの最終行に自動追記
所要時間:0秒。(あなたが何もしなくても、勝手に動く)
コードは?
ChatGPTに、こう聞けばいい:
「GASで、Gmailの件名に『請求書発行完了』を含むメールを取得して、差出人、受信日、件名をスプレッドシートに追記するコードを書いて」
5秒後、完璧なコードが出てくる。
あなたは、それをコピペして、GASエディタに貼り付けるだけ。
理解する必要はない。動けばいい。
具体例2: スプレッドシートの「特定の日付」になったら、自動でリマインドメールを送る
次の地獄。
あなたは、クライアントの契約更新日をスプレッドシートで管理している。
毎週金曜、手動でスプレッドシートを開いて、「あ、来週更新日だ」と気づいて、慌ててメールを送る。
もう、やめよう。
GASなら、こうなる:
- 毎日朝8時に自動実行
- スプレッドシートの「更新日」列をチェック
- 「7日後」に更新日が来るクライアントを抽出
- 自動で「契約更新のリマインド」メールを送信
あなたは、何もしない。
ただ、スプレッドシートに「更新日」を入力しておくだけ。
あとは、GASが勝手に動く。
コードは?
ChatGPTに:
「GASで、スプレッドシートのB列の日付が7日後に来るものを検索して、A列のメールアドレスに『契約更新が近づいています』というメールを自動送信して」
はい、5秒。
重要:「理解」は後回し。「動く」が先だ
ここで、真面目な人ほど陥る罠がある。
「でも、コードの意味がわからないまま使うのって、なんか怖い…」
その感覚が、あなたを一生「高級コピペ作業員」に縛り付ける。
料理の例えで考えよう。
あなたは、電子レンジを使うとき、「マイクロ波の仕組み」を理解してから使うか?
車を運転するとき、「エンジンの内部構造」を理解してから乗るか?
使わないだろ。
動けばいい。便利ならいい。
GASも同じだ。
最初は、ChatGPTが書いたコードをコピペして、動かす。それだけ。
そして、動いた瞬間、あなたは「うわ、マジで動いた!」という成功体験を得る。
その成功体験が、あなたの脳を変える。
「自動化、マジで使えるわ」
「次は、あの作業も消してやろう」
そして、次の自動化をするとき、前回のコードを見返す。
「あれ、この部分、こういう意味か」
理解は、後からついてくる。
順番を間違えるな。
「勉強→理解→実行」じゃない。
「実行→成功体験→興味→理解」が、正しい順番だ。
「自動化で空いた時間」を、また「コピペ作業」で埋めようとしていないか?
さて、ここからが本当に重要な話。
あなたがGASで自動化に成功し、毎日30分の作業が消えたとする。
素晴らしい。
で、その30分で、あなたは何をする?
もし、「よし、じゃあもう1件、コピペ作業ができるな」と思ったなら、あなたは何も学んでいない。
自動化の目的は、「もっと作業をする」ことじゃない。
「作業から解放されて、創造的な時間を手に入れる」ことだ。
その30分で、あなたがやるべきことは:
- 第2章で学んだ「価値再定義AIブレスト」を実行する
- 新しいビジネスモデルを考える
- クライアントに、より高い価値を提供する戦略を練る
- 本を読む
- ただぼーっとして、アイデアが降りてくるのを待つ
「何もしない時間」を持つことが、最高の投資になる。
なぜか?
人間の脳は、暇なときに最も創造的になるからだ。
シャワーを浴びてるとき、散歩してるとき、ぼーっとコーヒーを飲んでるとき。
そういう「余白」の時間に、突然「あ、そういうことか!」という閃きが来る。
でも、あなたがずっとコピペ作業で埋まっていたら?
その閃きは、一生来ない。
自動化で得た時間を「守れ」。
カレンダーにブロックしろ。
「戦略思考タイム」「アイデアタイム」「ぼーっとする時間」と書いて、予定を入れろ。
その時間を、他の誰にも、何にも、渡すな。
プログラミングは「書く」な。「AIに書かせろ」
最後に、もう一度強調しておく。
「GASを学ぶ」と聞いて、多くの人がこう思う。
「よし、Udemyでコース買って、基礎から勉強するか…」
やめろ。
その瞬間、あなたは挫折フラグを立てている。
なぜか?
人間は、「明確な痛み」がないと、学ばないからだ。
「GASを勉強しよう」というふわっとした動機では、3日でYouTube見始める。
でも、「この地獄のような日報作成を、今すぐ消し去りたい」という切実さがあれば?
あなたは、ChatGPTに泣きつきながらでも、コードを完成させる。
これが、正しい学び方だ。
実践:ChatGPTへの「泣きつき方」
具体的に、どうAIに頼むのか。
例えば、こんな感じ:
あなた(ChatGPTに):
助けてください。私は毎週月曜日に、先週のクライアント対応履歴を手動でスプレッドシートにまとめています。具体的には:- Gmailで「件名:対応完了」のメールを検索- 差出人、日時、本文の一部をコピペ- スプレッドシートに1件ずつ手動入力これを毎週30分やっています。地獄です。Google Apps Script で自動化したいのですが、私はプログラミングが全くできません。コピペで動くコードを、手順付きで教えてください。
これで、ChatGPTは完璧なコードと、設定手順を出してくれる。
あとは、それを愚直に実行するだけ。
「プログラミングができない」は、もはや言い訳にならない。
AIがいる時代に、「できない」と言うのは、「やりたくない」と言っているのと同じだ。
「小さな自動化」の成功体験が、あなたのセルフイメージを書き換える
最後に、これだけは覚えておいてほしい。
GASで最初の自動化に成功した瞬間、あなたの脳内で何かが変わる。
「私は、作業を消せる人間だ」というセルフイメージが芽生える。
それまで、あなたは「作業をこなす人」だった。
でも、その瞬間から、あなたは「作業を設計する人」に進化する。
新しい仕事を振られたとき、反射的にこう思うようになる。
「これ、自動化できるよね?」
「これ、わざわざ手動でやる意味ある?」
この「問い」を持てるようになったとき、あなたは本物の「戦略家」になる。
あなたは「戦略家」か、それとも「高級コピペ作業員」か?
さて、この記事を読んで、あなたはどう思った?
「うわ、耳が痛い…でも、確かにそうかも」
「この記事、私のことじゃん…」
「明日から、何か変えないとヤバい」
もし、そう思ったなら、チャンスだ。
今日が、あなたの「転換点」になる。
でも、もしこう思ったなら、危険信号だ。
「まあ、いつかやろう」
「今はちょっと忙しいから、落ち着いたら…」
その「いつか」は、永遠に来ない。
なぜか?
あなたは今、忙しいからコピペ作業をしている。
でも、コピペ作業をしているから、さらに忙しくなる。
この悪循環を断ち切るには、「忙しい今」に行動するしかない。
今日、やるべきこと
- スマホを開け
- メモアプリを開け
- 「今週3回以上やった、めんどくさい作業」を1つ書け
- ChatGPTを開け
- 「GASで〇〇を自動化したい。私はコードが書けない」と泣きつけ
これだけ。
所要時間:10分。
でも、この10分が、あなたの今後10年を変える。
10分の行動が、年間120時間を取り戻す。
その120時間で、あなたは何をする?
新しいビジネスを立ち上げるか。
本を20冊読むか。
大切な人と、深い対話をするか。
それとも、あと10年、同じコピペ作業を続けるか。
選択肢は、2つしかない。
「戦略家」になるか。
「高級コピペ作業員」のままでいるか。
どちらを選ぶかは、あなた次第だ。
でも、覚えておいてほしい。
この選択を「しない」ことも、選択だ。
そして、「しない」を選んだ人は、気づいたら10年が経っている。
さあ、あなたはどうする?
今日、最初の自動化に挑戦するか?
それとも、明日も、同じコピペ作業を続けるか?
答えは、あなたの手の中にある。
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