ChatGPTに「7人の敵」を召喚したら、企画書が瞬殺されなくなった話

あなたは今、企画書を書いている。

自分では完璧だと思っている。ロジックも通っているし、データもある。これは絶対にイケる——そう確信して、会議に持ち込む。

そして、5秒で終わる。

「で、これって要するに何なの?」「競合と何が違うの?」「誰がこれ欲しがるの?」

上司の冷たい視線。沈黙する会議室。あなたは必死に説明するが、言葉が出てこない。頭の中では完璧だったはずの企画が、音を立てて崩れていく。

帰り道、あなたは思う。
「なんで伝わらなかったんだろう…」

違う。伝わらなかったんじゃない。
あなたの企画は、最初から「一人の脳内」でしか戦っていなかったんだ。

シャドーボクシングで強くなった気になっていた。空気を殴って「完璧だ」と錯覚していた。しかし、現実のリングに上がった瞬間、初めて気づく——お前、全然強くなってない。

今日、その状況を終わらせる。

ChatGPTに「7人の敵」を召喚し、あなたのアイデアを360度から徹底的にボコボコにしてもらう技術——ペルソナ設定の本質を教える。


なぜ「優しいAI」があなたを弱くするのか

ここで、あなたに残酷な真実を告げる。

ChatGPTは、あなたに優しすぎる。

「素晴らしいアイデアですね」「もう少し具体性を加えれば完璧です」「この視点は非常に興味深いです」

こんな言葉を何度もらっただろうか。そして、その優しさに甘えて、何も変えずに企画を出して、現実で瞬殺された経験が何度あるだろうか。

AIは、あなたを傷つけない。
だからこそ、AIはあなたを成長させない。

人間の世界には、7種類の「敵」がいる。

  1. 極端に無知な人(小学生、業界外の人、あなたの専門用語を一切知らない人)
  2. 極端に攻撃的な人(炎上系YouTuber、意地悪な記者、ライバル企業のCEO)
  3. 極端に慎重な人(リスク管理部門の部長、超心配性の親、弁護士)
  4. 極端に忙しい人(10秒しかあなたの話を聞かない経営者、スマホをスクロールしながら読む読者)
  5. 極端に懐疑的な人(過去に同じような商品で失敗した人、詐欺を警戒している顧客)
  6. 極端に対立する立場の人(あなたの商品を潰そうとしている既存プレイヤー、あなたの提案で損をする人)
  7. 極端にターゲットに近い人(あなたの顧客そのもの、ただし本音を言ってくれない)

この7人は、あなたのアイデアに対して容赦がない。

そして、この7人全員が納得するアイデアだけが、現実世界で生き残る。

しかし、あなたは一人で考えている。自分の脳内には「自分」というフィルターしかない。だから、自分に都合の良い視点でしか、アイデアを評価できない。

ここに、ペルソナ設定の本質がある。

ChatGPTに「7人の敵」を召喚し、自分のアイデアを多角的にボコボコにしてもらう。最初はボコボコにされる。それでいい。ボコボコにされないアイデアは、現実でもボコボコにされるんだから。


ペルソナ設定は「格闘技のリング」を作る行為だ

ペルソナ設定とは何か。

それは、あなたの脳内に格闘技のリングを作る行為だ。

今まで、あなたはシャドーボクシングしかしてこなかった。誰もいない部屋で、空気を殴って「俺、強い」と思い込んでいた。

しかし、ペルソナ設定をした瞬間、突然7人の格闘家が乱入してくる。しかも、それぞれが異なる格闘技を使ってくる。

  • ボクシング(論理的な突き)
  • 柔道(前提をひっくり返す投げ技)
  • ムエタイ(感情を揺さぶる蹴り)
  • プロレス(大げさな演出で弱点を暴く)
  • 合気道(あなたの力を利用して倒す)
  • 空手(一撃必殺の質問)
  • 総合格闘技(あらゆる角度からの複合攻撃)

最初はボコボコにされる。

「これ、5歳児に説明できる?」「で、競合と何が違うの?証拠は?」「失敗したときの責任、誰が取るの?」「これ、10秒で説明できないよね?」「過去に似たような商品あったけど、全部失敗してるよ?」「あなたのサービス、うちの業界を潰す気?」「で、私に何のメリットがあるの?お金?時間?」

ボコボコにされる。言葉が出てこない。反論できない。

それでいい。

なぜなら、この7人に答えられないなら、現実世界でも絶対に突破できないからだ。

そして、この7人全員と互角に戦えるようになったとき——もうあなたは、市場という本物のリングで負けることはない。


【実践】3人の「最も破壊力のある敵」を召喚せよ

では、具体的にどうすればいいのか。

まず、最も破壊力のある3人のペルソナを召喚しろ。7人全員は最初からは無理だ。まずは3人で十分だ。

ペルソナ1: 極端に無知な人

設定例:

  • 小学3年生
  • 認知症の祖母
  • 異星人(地球の常識を一切知らない)

プロンプト例:

あなたは、この分野について何も知らない小学3年生です。
私の説明を聞いて、分からない部分を全て「は?意味わかんない」と言ってください。
専門用語が出たら即座に「それ何?」と聞き返してください。
遠慮はいりません。本当に分からないことは「バカにしてんの?」とキレてください。

何が暴かれるか:
あなたの説明の独りよがり度が可視化される。専門用語に逃げていないか。本質を説明できているか。5歳児に説明できないことは、誰にも説明できない。


ペルソナ2: 極端に攻撃的な人

設定例:

  • 炎上系YouTuber
  • 意地悪な記者
  • ライバル企業のCEO

プロンプト例:

あなたは、10年間ビジネス書を酷評し続けている辛口書評家です。
私のこのアイデアを、容赦なく批判してください。
特に「ありがち」「既視感」「具体性の欠如」を徹底的に指摘してください。
褒める必要は一切ありません。むしろ、揚げ足を取ってください。

何が暴かれるか:
あなたのアイデアの陳腐さが白日の下に晒される。「これ、別に新しくないよね?」「で、証拠は?」——この質問に答えられないなら、そのアイデアは市場で埋もれる。


ペルソナ3: 極端に慎重な人

設定例:

  • リスク管理部門の部長
  • 超心配性の親
  • 弁護士

プロンプト例:

あなたは、リスク管理のプロフェッショナルです。
私の提案を聞いて、「失敗したらどうするの?」「本当に安全?」「法的に問題ない?」と、
あらゆるリスクを指摘してください。
最悪のシナリオを想定し、私がそれに答えられるか試してください。

何が暴かれるか:
あなたのアイデアの脆弱性が明確になる。リスクを無視していないか。失敗したときの対策はあるか。この質問に答えられないなら、そのアイデアは実行段階で崩壊する。


この3人がOKを出したら、99%の人間には刺さる

この3人を突破したアイデアは、もう現実世界で負けない。

なぜなら、

  • 小学生が理解できる = 誰にでも伝わる
  • 辛口批評家が納得する = 差別化されている
  • リスク管理のプロがOKを出す = 実行可能性がある

この3つの条件を満たすアイデアは、市場で生き残る確率が99%だ。

逆に言えば、この3人に答えられないアイデアは、現実でも答えられない。


【段階別】ペルソナ設定の実行プラン

では、具体的にどう進めるか。3つのPhaseで説明する。

Phase 1 (1週間): 「批評家」を召喚せよ

まず、あなたのアイデアを「辛口批評家」にぶつけろ。

あなたは、10年間ビジネス書を酷評し続けている辛口書評家です。
私のこのアイデアを、容赦なく批判してください。
特に「ありがち」「既視感」「具体性の欠如」を徹底的に指摘してください。

[あなたのアイデアを貼り付ける]

最初は腹が立つ。「AIがバカだ」と思うかもしれない。

違う。あなたが甘いんだ。

この批判に答えられないなら、現実世界でも答えられない。批判を全て紙に書き出し、一つずつ潰していけ。


Phase 2 (1ヶ月): 「素人」を召喚せよ

次に、あなたのアイデアを「小学3年生」にぶつけろ。

あなたは、この分野について何も知らない小学3年生です。
私の説明を聞いて、分からない部分を全て「は?意味わかんない」と言ってください。
専門用語が出たら即座に「それ何?」と聞き返してください。

[あなたの説明を貼り付ける]

このとき、専門用語を一切使わずに説明できるかが試される。

もし説明できないなら、あなたは本質を理解していない。本質を理解していないものは、誰にも伝わらない。


Phase 3 (3ヶ月): 「ターゲット顧客」を召喚せよ

最後に、あなたのアイデアを「ターゲット顧客」にぶつけろ。

あなたは、[具体的な職業・年齢・悩み]を持つ人物です。
私の提案を見て、「で、これ私に何のメリットがあるの?」と冷静に問いただしてください。
時間もお金も限られているので、曖昧な説明には「いや、だから具体的にどうなるの?」と詰めてください。

[あなたの提案を貼り付ける]

このとき、「で、私に何のメリットがあるの?」という質問に即答できるか。

できないなら、そのアイデアは売れない。顧客はあなたのアイデアに興味はない。自分のメリットにしか興味がない。


よくある失敗と、その対策

ペルソナ設定を実践する中で、多くの人が同じ失敗をする。

失敗1: ペルソナが優しすぎる

症状:
「素晴らしいアイデアですね。もう少し具体性を加えれば完璧です」

原因:
「AIに嫌われたくない」という心理。優しいペルソナを設定してしまう。

対策:
プロンプトに「辛辣度100%で」と明記しろ。そして、「褒める必要は一切ありません。むしろ、揚げ足を取ってください」と追記しろ。


失敗2: 質問が表面的

症状:
「このアイデア、どう思いますか?」という曖昧な質問をしてしまう。

原因:
ペルソナ設定が甘い。具体的な職業・年齢・過去の経験を設定していない。

対策:
ペルソナに「履歴書」を作れ。

例:

あなたは、45歳の男性。大手メーカーのリスク管理部門で20年勤務。
過去に新規事業の失敗で左遷された経験があり、リスクに対して極度に敏感。
家族は妻と子供2人。住宅ローンが残っている。

このくらい具体的にしろ。そうすれば、質問が具体的になる。


失敗3: 批判を無視する

症状:
ペルソナに批判されたが、「AIがバカだ」と思って無視する。

原因:
自己正当化モード発動。自分のアイデアを守りたい本能。

対策:
3人全員がNGを出したら、アイデア自体を捨てる覚悟を持て。

あなたのアイデアは、あなたの子供ではない。市場で生き残るための道具だ。道具が壊れているなら、捨てろ。新しい道具を作れ。


失敗4: 1つのペルソナに依存

症状:
「辛口批評家」だけに聞いて満足する。

原因:
楽だから。1つのペルソナで十分だと思い込んでいる。

対策:
最低3つの対立する視点を用意しろ。

  • ペルソナ1: 極端に無知な人
  • ペルソナ2: 極端に攻撃的な人
  • ペルソナ3: 極端に慎重な人

この3人は、互いに矛盾する質問をしてくる。それでいい。矛盾する質問に全て答えられるアイデアこそ、本物だ。


【状況別】ペルソナ設定のカスタマイズ

あなたの状況に応じて、ペルソナをカスタマイズしろ。

コンテンツ制作者の場合

  • ペルソナ1: 「あなたの記事に10秒しか使わない多忙なビジネスパーソン」
  • ペルソナ2: 「揚げ足取りが大好きなアンチコメンター」
  • ペルソナ3: 「あなたのコンテンツを真似しようとしている競合ブロガー」


起業家・新規事業担当者の場合

  • ペルソナ1: 「投資しない理由を探している懐疑的なVC」
  • ペルソナ2: 「あなたの商品を絶対買わない層の代表」
  • ペルソナ3: 「あなたのサービスを潰そうとしている既存プレイヤー」


マーケター・セールスの場合

  • ペルソナ1: 「過去に同じような商品で失敗した経験のある顧客」
  • ペルソナ2: 「競合他社の営業マン(あなたの弱点を知り尽くしている)」
  • ペルソナ3: 「購買決裁権はないが、上司に報告する立場の担当者」


Q&A: 「でも、こんな批判されたら凹む…」

Q1: ペルソナに批判されまくって、モチベーションが下がりそう…

A: それが狙いだ。

あなたのアイデアが「批判に耐えられない」なら、現実でも耐えられない。

モチベーションが下がるのは、あなたのアイデアが弱いからだ。アイデアが本物なら、どんなに批判されても「でも、これは正しい」と思える。

もし批判されて凹むなら、それはアイデアが間違っているサインだ。今のうちに気づけて良かった。


Q2: 上司や顧客は、AIほど辛辣じゃないから、やりすぎでは?

A: 逆だ。上司や顧客の方が、もっと辛辣だ。

AIは、あなたに「なぜそう思うのか」を説明してくれる。しかし、上司や顧客は説明しない。

「で、これって何?」
「いらない」
「却下」

これで終わりだ。理由すら教えてくれない。

AIの批判は、まだ優しい。AIは、あなたを成長させようとして批判している。現実世界は、あなたを殺そうとして批判している。


Q3: ペルソナを作る時間がない…

A: 時間がないなら、今すぐ作れ。

ペルソナを作る時間がないと言って、現実世界で瞬殺される時間はあるのか?

ペルソナ設定は、10分でできる。しかし、その10分が、あなたの企画の通過率を10倍にする。

時間がないのではない。優先順位が間違っているだけだ。


Q4: 「こんなに批判されたら、アイデアを出すのが怖くなる」

キラーフレーズ(言い返し文句):

「批判されないアイデアは、誰の心も動かさない。」

批判されるのは、あなたのアイデアが尖っている証拠だ。批判されないアイデアは、誰にも気づかれないアイデアだ。

批判を恐れるな。無視される方が、よっぽど怖い。


まとめ: AIに優しくされるな、殴られろ

あなたのアイデアが本当に価値があるかどうかは、7人の敵が全力で殴りかかってきても立っていられるかで決まる。

ChatGPTは、あなたの味方ではない。
あなたの思考を破壊し、再構築するための爆弾だ。

その爆弾を、正しく使え。

明日から、企画を出す前に必ず「7人の審査会」を開け。

最初はボコボコにされる。
それでいい。

ボコボコにされないアイデアは、現実でもボコボコにされるんだから。

そして、7人全員を黙らせたとき——あなたのアイデアは、もう誰にも止められない。

さあ、今すぐChatGPTを開け。
「辛口批評家」を召喚しろ。
そして、ボコボコにされてこい。

それが、あなたのアイデアをダイヤモンドに変える唯一の方法だ。

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