「いいものを作れば売れる」は嘘。詐欺師に学ぶバカ売れコンテンツの「階段」設計術

世界中が「すぐ儲かる」で溢れてる本当の理由

またか、と思った。

スマホを開けば、タイムラインは「確実に月100万円!」「3ヶ月で人生が変わる!」「誰でも簡単に!」という言葉で埋め尽くされている。まるで世界中が詐欺師の集会場になったかのように。

あなたも溜息をついただろう。「世の中、本当にバカばかりなのか?」と。

でも、ちょっと待ってほしい。

その溜息、もしかしたら的外れかもしれない。いや、半分は正しいんだけど、もう半分は完全に見当違いだ。そして、その「見当違いな半分」こそが、あなた自身の影響力を殺している犯人なのだ。


あなたは「階段のない崖」を作り続けている

ここで、衝撃的な事実を突きつける。

「すぐ儲かる」系のコンテンツを軽蔑しているあなた自身が、実は最も不誠実である可能性がある。

なぜか?

あなたは「本質的な内容」を語る。深い洞察を持っている。長年の経験から得た、本物の知恵がある。でも、それをいきなり、何の準備もない人にぶつけている。

これ、何に似ているか分かるか?

100kgのバーベルを初心者に渡して、「これが本物の筋トレだ。持てないお前がバカなんだ」と言い放つジムトレーナーだ。

誰も成長しない。誰もそのジムには来ない。そして、トレーナーは空っぽのジムで「世の中、本気で鍛えたい奴なんていないんだな」と嘆く。

おかしいだろう?

問題は会員じゃない。階段を用意しなかったトレーナーの方なんだ。


「釣り餌」を否定した瞬間、あなたは誰にも届かなくなる

「でも、浅い内容で人を集めるのは良くないでしょ?」

そう思うだろう。分かる。私も最初はそう思っていた。

でも、考えてみてほしい。

あなたが本当に価値ある情報を持っているとして、それが誰にも届かなければ、存在しないのと同じじゃないか?

深海に沈んだ宝石と、誰も知らない天才の知恵は、何が違う? どちらも世界に何の影響も与えていない。

逆に、浅く見える「すぐ儲かる」系のコンテンツは、少なくとも人の注意を引くことに成功している

そこから先の設計がないから問題なのであって、「注意を引く」こと自体は悪じゃない。むしろ、それはコミュニケーションの第一歩だ。

たとえるなら、釣り餌は悪くない。釣り上げた魚を全部リリースして、何も得させないのが悪なんだ。


世界は「バカ」じゃない。ただ「準備ができていない」だけだ

ここで、もう一つの不都合な真実を話そう。

「世の中バカばかり」と嘆く人の多くは、実は相手を理解する努力を放棄している

人は急に賢くなれない。知識は段階的に積み上がる。筋肉がいきなり100kg持ち上げられないように、思考力もいきなり複雑な概念を処理できない。

でも、トレーニングを積めば、誰でも成長する。

問題は、その成長を支える「階段」が、この世界にはほとんど存在しないことだ。

片方には「すぐ儲かる!」という1段目の階段ばかりが乱立していて、その先がない。

もう片方には「本質を語る崖」がそびえ立っていて、登る方法が示されていない。

その間に立って、「どっちにも行けない」と困惑している人々が大量にいる。それが、今の情報社会の姿だ。


4段階の階段を作れば、世界は変わる

じゃあ、どうすればいいのか?

答えはシンプルだ。階段を作れ。

具体的には、こういう4段階だ:

Level 1: 「え、そうなの?」という驚き
所要時間15秒。誰でも反応できる、シンプルな衝撃。これが釣り餌。恥じる必要はない。

Level 2: 「なぜそうなるのか?」という簡単な説明
所要時間5分。Level 1で興味を持った人だけが読む。ここで少し知的好奇心を満たす。

Level 3: 「それを応用するとどうなるか?」という深い分析
所要時間30分。ここまで来ると、もう本気で理解したい人だけが残る。具体的な実践方法を示す。

Level 4: 「自分で考えるための枠組み」を渡す
所要時間は無限。あなたの知恵を「答え」としてではなく、「考える道具」として渡す。ここで、彼らは自走し始める。

この階段を作れば、何が起きるか?

Level 1で100人集めて、Level 2に進むのは10人。Level 3に進むのは3人。Level 4に到達するのは1人かもしれない。

でも、その1人は本当に理解した上で行動を変えた人だ。そして、彼らはやがて、自分の階段を作り始める。


Netflix方式で導線を設計せよ

ここで、具体的な設計のコツを一つ教える。

Netflixがなぜあんなに中毒性が高いか知ってるか?

エピソードの終わりに「続きを見ますか?」なんて聞かない。自動的に次のエピソードが始まるんだ。

あなたのコンテンツも同じにしろ。

Level 1のコンテンツの最後に、「この仕組みをもっと知りたい人はこちら」と明示的なリンクを置け。

Level 2の最後には、「じゃあ、これを実際に使うとどうなる?」と次への好奇心を喚起してから、Level 3への導線を示せ。

階段は、見えなきゃ意味がない。「続きがあること」を明示的に示せ。


大多数は永遠にLevel 1に留まる。それでいい。

ここで、もう一つ重要なことを言っておく。

100人中99人は、Level 1で満足して終わるかもしれない。

それでいいんだ。

あなたの仕事は、全員を頂上まで連れて行くことじゃない。登りたい人のための道を用意することだ。

山の麓でピクニックを楽しむ人を、無理やり山頂に連れて行く必要はない。でも、「山頂に行きたい」と思った人が、迷わず登れる登山道を整備しておくべきなんだ。

そして、たった1人でも山頂に到達したなら、その人はもうあなたの分身になる。彼らは自分の言葉で、新しい階段を作り始める。

影響力というのは、そうやって広がっていく。


あなたが明日すべき、たった一つのこと

さて、ここまで読んだあなたに、宿題を出す。

今まで書いたコンテンツの中で、最も価値があると思うものを一つ選べ。

それは記事でも、動画でも、noteでも、Twitterの長文スレッドでもいい。

そして、こう自問しろ:

  • 「これを初めて見た人が、15秒で『面白そう』と思えるか?」
  • 「その人が『もっと知りたい』と思ったとき、次のステップは明示されているか?」
  • 「最終的に、自分で考える力を渡しているか?」

もし答えが全部「YES」なら、あなたは既に階段を作っている。素晴らしい。

もし一つでも「NO」があるなら、そこが改善ポイントだ。

Level 4(あなたの最高傑作)から逆算して、Level 3、Level 2、Level 1を今週中に設計しろ

完璧である必要はない。まずは一つ、完全な導線を持ったコンテンツセットを作ってみろ。

それが、あなたの「すぐ儲かる」を超える武器になる。


最後に:「釣り餌」の先に宝を置け

「すぐ儲かる」で溢れているこの世界で、あなたができることは二つしかない。

一つは、崖の上に立って「世の中バカばかりだ」と嘆き続けること。

もう一つは、麓から頂上まで続く、美しい階段を設計すること。

どちらを選ぶかは、あなた次第だ。

でも、もしあなたが本当に価値ある何かを持っているなら、それを届けない理由はないはずだ。

釣り餌を恥じるな。ただし、釣り餌の先に、本物の宝を用意しろ。

そうすれば、いつか誰かが山頂に立って、こう言うだろう。

「ああ、こういう景色だったのか」

その瞬間、世界は少しだけ変わる。

あなたの階段を、一段ずつ登った人によって。


さあ、階段を作ろう。

明日から、いや、今日から。

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