本80冊読んだのに売上ゼロ?泳ぎたいのか、本を読みたいのか
「もっと勉強してから」—この世で最も便利な逃げ口上
タクヤは35歳。起業したいと、5年言い続けている。
その5年間で何をしたか?
- 起業の本を80冊読んだ
- YouTubeを200本見た
- セミナーに15回通った
- オンライン講座を3つ受講した
- Podcastを毎日2時間聴いた
素晴らしい。勤勉だ。真面目だ。
しかし問おう。
売上は?
ゼロ。
顧客は?
ゼロ。
商品は?
ゼロ。
タクヤは言う。「まだ準備中なんです」
嘘をつくな。
お前は準備していない。お前は逃げている。
そして最も狡猾なのは、この逃避が誰からも責められないことだ。
「勉強しています」「学んでいます」「準備しています」
これを言えば、誰も文句を言わない。むしろ「真面目だね」「慎重だね」と褒められる。
情報収集は、最も知的に見える逃避手段だ。
プールサイドで水泳の本を100冊読む男
想像してほしい。
プールサイドに、一人の男が座っている。
彼は水泳の本を読んでいる。「クロールの腕の角度は22.5度」「呼吸は3回に1回」「キックは膝を曲げすぎない」
1冊読み終えた。満足した。
しかし泳がない。
「まだ完璧じゃない」
2冊目を開く。「バタフライの技術」
読み終えた。「素晴らしい。これで理解が深まった」
しかし泳がない。
「もう少し勉強してから」
3冊目、4冊目、5冊目…
10年後。
彼は100冊読んだ。水泳のあらゆる理論を理解している。
しかし泳げない。
なぜなら、一度もプールに入っていないから。
そして子どもが飛び込む
その横で、5歳の子どもが飛び込む。
バシャーン!
溺れそうになる。必死に手足を動かす。水を飲む。咳き込む。
しかし動く。
1週間後。その子どもは犬かきができるようになっている。
1ヶ月後。バタ足で進めるようになっている。
100冊の本より、1回の飛び込み。
男は言う。「でも、正しいフォームで泳ぎたいんです」
子どもは既に、25メートル泳いでいる。
情報収集という名の、最も心地よい逃避
ここで残酷な真実を語る。
お前は「知識が欲しい」のではない。お前は「安全でいたい」のだ。
情報収集は心地よい。
本を読んでいる間は、失敗しない。YouTubeを見ている間は、批判されない。セミナーに通っている間は、傷つかない。
そして脳は錯覚する。「学んでいる=進んでいる」
実際は1ミリも進んでいないのに。
インプットは麻薬である
新しい知識を得ると、脳はドーパミンを分泌する。
「おお!なるほど!」「これは使える!」「勉強になった!」
気持ちいい。
しかし翌日。何も覚えていない。何も実行していない。
そしてまた次の本を開く。次のYouTubeを見る。
これは学びではない。麻薬だ。
アルコール依存症の人が「もう一杯」と言い続けるように、インプット依存症の人は「もう一冊」と言い続ける。
そして10年後。
積読タワーが完成している。しかし人生は、何も変わっていない。
タクヤと後輩の物語
ある日、タクヤは大学時代の後輩に再会した。
「久しぶり!元気?」「元気っす!先輩は?起業したんですよね?」
タクヤは言葉に詰まった。「いや…まだ準備中で」
「えっ?先輩、5年前から準備してますよね?」
タクヤは恥ずかしくなった。
「お前は…どうなんだ?」
「俺?起業して3年目っす」
「マジか。成功してるのか?」
後輩は笑った。
「成功?いや、失敗しまくってますよ。最初の商品なんて誰も買わなかったし」
「じゃあ、大変じゃん」
「大変ですけど、楽しいっす。失敗するたびに学べるんで」
タクヤは聞いた。「お前、起業の本とか読んだのか?」
「最初は読まなかったっす」
「は?」
「失敗してから学ぶ」という逆転の発想
後輩は続けた。
「最初、何も知らないまま商品作って売ったんすよ」
「売れたのか?」
「全然。1個も売れなかった」
「じゃあ失敗じゃん」
「そうっす。で、その時初めて思ったんです。『あれ?なんで売れないんだ?』って」
「それで?」
「それで初めて本を読みました。マーケティングの本を1冊だけ」
「1冊だけ?」
「はい。で、学んだことを即実行。また失敗。また本を1冊。また実行」
「そのループで3年?」
「そうっす。本は今まで合計10冊くらいしか読んでないっす」
タクヤは絶句した。
「俺、80冊読んだのに…」
知識のメタボリックシンドローム
後輩は優しく言った。
「先輩、それって『知識のメタボ』っすよ」
「は?」
「インプットばっかりで、アウトプットしないから、頭の中に脂肪が溜まってるんすよ」
タクヤは笑ってしまった。
「確かに…脳みそがメタボかもな」
「先輩の頭の中、起業の知識で満腹なんすよ。だから新しい行動が入る余地がない」
「じゃあ、どうすれば?」
「ダイエットっす」
「ダイエット?」
「本を閉じて、走るんすよ。知識を燃焼させる唯一の方法は、行動っす」
その夜、タクヤは決めた
家に帰ったタクヤは、書斎を見た。
起業の本が80冊。全部読んだ。全部理解した。
しかし売上は、ゼロ。
タクヤは本棚を見て、笑った。
「俺、水泳の本を100冊読んで、プールサイドに座ってる人間だったんだな」
そして決めた。
明日、プールに飛び込む。
60%理解したら、飛び込め
翌日、タクヤは本を開かなかった。
代わりに、商品を作った。
完璧じゃない。理論通りじゃない。60点のクオリティ。
しかし作った。
そして売った。
結果:惨敗
1週間、誰も買わなかった。
しかしタクヤは笑っていた。
なぜなら初めて「学んだ」から。
「ああ、価格が高すぎたんだ」「ターゲットが曖昧だったんだ」「見せ方が悪かったんだ」
本を読んで学んだことより、この1回の失敗で学んだことの方が、遥かに実践的だった。
2回目:また失敗
価格を下げた。ターゲットを絞った。
また売った。
また売れなかった。
しかしまた学んだ。「ああ、ベネフィットが伝わってないんだ」
5回目:初めて売れた
5回目。
初めて売れた。
1,000円。
タクヤは泣きそうになった。
5年間、80冊の本を読んで得られなかったもの。5回の失敗で、手に入れた。
「失敗から学ぶ」という、最高の教科書。
Netflixのネタバレを全部読んでから見る人
ここで面白い例えを出そう。
情報収集依存症の人は、Netflixのドラマのネタバレを全部読んでから見る人だ。
「この後、主人公はどうなるんだろう?」「あ、ネタバレ記事がある。読んでおこう」「最終回の結末も確認しておこう」
全部読んだ。完璧に理解した。
そしてドラマを見る。
つまらない。
なぜなら驚きがないから。失敗がないから。予想外がないから。
人生も同じだ。
「完璧に学んでから行動する」は、人生のネタバレを全部読んでから生きるようなものだ。
驚きも、学びも、成長もない。
セミナージプシー問題
ついでにもう1つ。
「セミナージプシー」という人種がいる。
毎月、セミナーに通う。「今度こそ、人生が変わる!」
しかし何も変わらない。
なぜなら実行しないから。
セミナーで「よし、やるぞ!」と決意する。しかし翌日には忘れている。
そして次のセミナーに行く。「今度こそ!」
これはセミナー依存症だ。
アルコール依存症の人が酔っている間だけ幸せなように、セミナー依存症の人は「変わろうとしている瞬間」だけ幸せなのだ。
実際に変わることは、怖い。
1年後—タクヤの世界
1年後。
タクヤの売上は月100万円になっていた。
本は?この1年で読んだのは10冊。
しかし商品は?30個作った。
そのうち失敗したのは?27個。
成功したのは?3個。
しかしその3個で、月100万円。
ある日、かつての自分と同じ人に会った
「タクヤさん、起業したいんですけど、どうすればいいですか?」
「何か始めた?」
「いや、まだ勉強中で…本を20冊読んでるんです」
タクヤは笑った。
「本を閉じろ」
「え?」
「60%理解したら、本を閉じて飛び込め。プールサイドに座ってても、泳げるようにはならない」
「でも、失敗したら…」
「失敗しろ。それが最高の教科書だ」
インプット:アウトプット = 1:9
タクヤが学んだルールがある。
インプット:アウトプット = 1:9
1時間学んだら、9時間実行する。1冊読んだら、9回試す。1本YouTube見たら、9回アウトプットする。
これだけ。
しかし多くの人は逆をやっている。
9時間学んで、1時間実行。いや、実際は9時間学んで、0時間実行。
それは学びではない。逃避だ。
「もっと勉強してから」の罠
「もっと勉強してから」
この言葉は、永遠に続く。
なぜなら「完璧に勉強し終わる」日は来ないから。
本は毎日出版される。YouTubeは毎日アップされる。新しい理論は毎月生まれる。
「もっと」には、終わりがない。
だから今日、本を閉じろ。60%理解したら、十分だ。
残りの40%は、失敗しながら学べ。
あなたはどっちだ?
ここで問おう。
あなたは今、プールサイドに座っているか?
本を何冊読んだ?YouTube を何本見た?セミナーに何回通った?
そして。
何を作った?何を売った?何を完成させた?
もし答えが「ゼロ」なら。
お前は泳ぎたいのか、本を読みたいのか?
知識のメタボ診断
チェックしてみろ。
□ 積読が10冊以上ある□ 「もっと勉強してから」が口癖□ YouTubeの「後で見る」リストが100本以上□ セミナーに行くと満足してしまう□ 学んでいる時間 > 実行している時間
3つ以上当てはまれば、お前の脳はメタボだ。
ダイエットが必要だ。
そして脳のダイエット方法は1つ。
行動だ。
今日、プールに飛び込め
もう本は読むな。もうYouTubeは見るな。もうセミナーには行くな。
今日、プールに飛び込め。
溺れそうになる?当たり前だ。
水を飲む?みんな飲む。
恥ずかしい?最初はみんな恥ずかしい。
しかし1週間後、お前は犬かきができる。1ヶ月後、お前はバタ足で進める。1年後、お前は泳いでいる。
プールサイドで本を読んでいた男は、まだ本を読んでいる。
失敗は最高の教科書だ
覚えておけ。
本は「他人の成功体験」だ。しかしお前の人生に必要なのは、「お前自身の失敗体験」だ。
100冊の本より、1回の失敗。1回の失敗より、10回の失敗。
失敗から学べ。改善しろ。また試せ。
これが成長だ。
エピローグ—5年後のタクヤ
5年後。
タクヤの会社は従業員10人になっていた。年商5000万円。
ある日、インタビューを受けた。
「成功の秘訣は?」
タクヤは笑った。
「本を読まないことっす」
「は?」
「いや、読みますよ。でも1冊読んだら、即実行。実行して失敗して、また1冊」
「起業の本は何冊読みましたか?」
「15冊くらいっすかね」
「15冊!?少なくないですか?」
「でも失敗は300回しました」
「300回!」
「そう。失敗が俺の教科書でした」
インタビュアーは聞いた。
「5年前の自分に、何かアドバイスはありますか?」
タクヤは即答した。
「本を閉じて、プールに飛び込め」
お前の番だ
さあ、お前の番だ。
本を閉じろ。YouTubeを止めろ。セミナーの予約をキャンセルしろ。
そして今日、何か1つ作れ。
完璧じゃなくていい。60点でいい。
ただ完成させろ。そして世に出せ。
失敗する?当たり前だ。
しかしその失敗が、お前を育てる。
80冊の本より、1回の失敗の方が、遥かに価値がある。
最後に—プールは目の前にある
プールは目の前にある。
お前はまだ、プールサイドに座っているのか?それとも今日、飛び込むのか?
選ぶのは、お前だ。
10年後。
お前は振り返る。
「あの日、本を閉じて良かった」「あの日、プールに飛び込んで良かった」
今日が、その日だ。
溺れろ。水を飲め。恥をかけ。
そして学べ。
それが人生だ。
付録: 今日からのアクションプラン
今日やること:
- 読みかけの本を1冊選ぶ(どれでもいい)
- 60%読んだら閉じる
- そこに書いてあったことを1つ、今日中に実行する
今週やること:
- 新しい本を買わない
- 新しいYouTubeを見ない
- 代わりに、何か1つ作る(何でもいい)
今月やること:
- 作ったものを10人に見せる
- 9人には批判される(当たり前)
- 1人に褒められる(これが成功)
これだけだ。
P.S. 積読タワーについて
ちなみに、タクヤの書斎には今でも70冊の本が積まれている。
「読まないんですか?」と聞かれる。
タクヤは笑って言う。
「あれは『読まない教科書』なんすよ」
「は?」
「あのタワーを見るたびに思い出すんです。『ああ、俺は5年間、本を読んで逃げてたな』って」
「それで?」
「それで思うんです。『今日は、プールに飛び込もう』って」
積読タワーは、最高の戒めだ。
さあ、本を閉じろ。プールに飛び込め。溺れながら、学べ。
お前の人生は、今日から始まる。
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