「赤ちゃんが寝ている間に、少しでもお金を稼ぎたい」
妊娠中、あるいは産後間もないあなたは、そう思ってクラウドソーシングのサイトを開いた。
「在宅ライター募集:1文字0.5円」
「育児ブログ記事作成:1500文字/750円」
「美容記事ライター:経験不問」
悪くない。家にいながら書くだけで収入になる。しかも、自分の経験が活かせそうだ。
でも、ちょっと待ってほしい。
その文章、本当に「750円」で売ってしまっていいのか?
2015年、私は気づいてしまった—ライターの真実
10年前。私は気づいた。
クラウドソーシングで記事を発注する側として、多くのライターさんと仕事をしていた。優秀な方も多かった。1500文字の育児記事を、体験談を交えて丁寧に書いてくださる。
しかし、ある日、ふと計算してみた。
この人、月にいくら稼いでいるんだろう?
1記事750円。1日2記事書いたとして1500円。月30日フル稼働で4万5000円。
いや、実際には育児の合間だ。1日1記事が精一杯だろう。月2万2500円。
一方、その記事を載せた私のブログは、月10万円以上稼いでいた。
その瞬間、私は思った。
「これ、おかしくないか?」
書いているのは彼女だ。経験も、言葉も、感情も、すべて彼女のものだ。なのに、その価値の大部分は、私のところに流れている。
これは、フェアじゃない。
2025年、状況はさらに厳しくなった
あれから10年。
2015年当時、在宅ライターの相場は1文字0.5〜1円だった。
2025年の今、相場は0.3〜0.5円まで下がっている。
なぜか?
AIである。
発注者は考える:「AIに書かせれば無料じゃないか。でも、人間らしい文章も欲しい。だから、安く人間に書かせよう」
結果、相場は下がり続けている。
しかも、さらに残酷な現実がある。
あなたが1文字0.3円で書いた記事を、依頼主はAIでリライトして、自分のブログに載せる。
そしてそのブログは、月20万円稼ぐ。
あなたの手元には、450円だけが残る。
「買取型」と「積み上げ型」—この差は、人生を変える
ここで、重要な概念を共有したい。
働き方には、2種類ある。
買取型(在宅ライター)
- 記事を書く→お金をもらう→終わり
- 来月も書かないと、収入はゼロ
- あなたの経験も、文章も、すべて他人の資産になる
- 時間を切り売りしているだけ
積み上げ型(自分のブログ)
- 記事を書く→資産になる→来月も再来月も稼ぎ続ける
- 300記事書けば、それは「不動産」のように働き続ける
- あなたの経験も、文章も、すべてあなたの資産になる
- 時間を「投資」している
この違いを、数字で見てみよう。
45万文字を書いた時、あなたの手元に残るもの
1500文字の記事を300記事書いたとする。合計45万文字。
これは、真剣に書けば3〜4ヶ月かかる量だ。育児の合間なら、半年はかかるだろう。
クラウドソーシングで他人のために書いた場合
- 相場が1文字1円(かなり高めに見積もって)
- 1500円 × 300記事 = 45万円
- 相場が1文字0.5円(現実的な数字)
- 750円 × 300記事 = 22万5000円
- 相場が1文字0.3円(2025年のよくある案件)
- 450円 × 300記事 = 13万5000円
半年働いて、13万5000円。月2万2500円。
コンビニでバイトした方が稼げる。
しかも、来月からの収入はゼロ。また書き続けなければならない。
自分のブログで書いた場合
同じ45万文字を、自分のブログに投稿したとする。
- 3ヶ月目:ほぼゼロ(育つのを待つ期間)
- 6ヶ月目:月3万円
- 1年目:月10万円
- 2年目:月15万円(メンテナンスは月1回、2時間程度)
1年目だけで120万円。2年目は180万円。
しかも、2年目はほとんど新規記事を書いていない。既存の記事が働き続けているのだ。
「でも、私にブログなんて書けるの?」という疑問
多くの人が、こう思う。
「私は文章が得意じゃない」
「ブログって難しそう」
「在宅ライターの方が、確実にお金になる」
これ、全部間違いだ。
間違い1:「文章が得意じゃない」
在宅ライターに応募できるなら、ブログも書ける。
なぜなら、求められるのは「プロの文章力」ではなく、「あなたの体験」だからだ。
夜泣きで辛かった話。
離乳食で失敗した話。
保育園選びで悩んだ話。
これらは、あなただけが持っている「コンテンツ」だ。
文章が多少下手でも、検索した人は読む。なぜなら、その体験を知りたいからだ。
間違い2:「ブログって難しそう」
2015年、確かにブログ構築は難しかった。
サーバー契約、WordPress設定、テーマ選び、プラグイン…専門用語だらけで、初心者には壁が高かった。
しかし2025年、これらはすべてAIが手伝ってくれる。
「WordPressの初期設定を教えて」とAIに聞けば、画像付きで手順を教えてくれる。「記事の構成どうすればいい?」と聞けば、一緒に考えてくれる。
技術的なハードルは、ほぼゼロになった。
間違い3:「在宅ライターの方が、確実」
これが最大の誤解だ。
在宅ライターは、確実に「今月」のお金にはなる。しかし、「来月」以降の保証はない。
- 依頼が来なければ、収入ゼロ
- 子どもが熱を出して書けなければ、収入ゼロ
- 相場が下がれば、収入も下がる
自分のブログは、書けば書くほど「安定」する。
300記事入っているブログは、あなたが1ヶ月休んでも、収入を生み続ける。子どもが熱を出しても、保育園の送り迎えで疲れていても、ブログは24時間働いている。
AI時代だからこそ、「自分の体験」が武器になる
2025年の今、ネットはAI生成記事で溢れている。
「離乳食の始め方」で検索すると、上位10記事のうち7記事はAIが書いている(もしくはAIで大幅に肉付けされている)。
しかし、読者は気づく。
「この記事、薄っぺらい」
「どこかで見たような内容」
「実体験がない」
だからこそ、あなたの「リアルな体験」が価値を持つ。
- 離乳食を始めた日、子どもが全部吐き出した話
- 夜泣きで限界だった時、夫に当たってしまった話
- 母乳が出なくて、義母の言葉に傷ついた話
これらは、AIには書けない。あなただけが持っている「資産」だ。
2015年の私が教えた主婦は、今どうなったか
10年前、私はある主婦の方に、ブログの作り方を教えた。
彼女は当時、2歳の子どもを育てながら、私の外注ライターとして働いていた。月2万円ほどの収入だった。
ある日、私は提案した。
「その文章力、自分のブログで使ってみませんか?」
彼女は不安そうだった。
「私にできるでしょうか…」
半年後、彼女のブログは日に1000PVを超えた。
1年後、日に15000PV。月収は10万円を超えた。
彼女がやったことは、シンプルだ。
- 自分の育児体験を、正直に書いた
- 困ったことを、解決策とセットで記事にした
- 週に3記事、コツコツ投稿した
これだけで、彼女は「買取型」から「積み上げ型」に転換した。
今、彼女のブログは(私は確認していないが)おそらく月30万円以上稼いでいるだろう。しかも、更新頻度は月に4記事程度まで下がっている。
なぜなら、過去に書いた記事が、働き続けているからだ。
「でも、最初の3ヶ月が不安です」という気持ち
わかる。
ブログは、最初の3ヶ月、ほとんど収入がない。これは事実だ。
クラウドソーシングなら、書いたその日に承認され、翌月には振り込まれる。
この「即金性」が、多くの人を在宅ライターに向かわせる。
しかし、考えてほしい。
あなたは今、「今月の2万円」と「来年からの毎月10万円」、どちらを選ぶだろうか?
もちろん、生活が苦しくて、今月のお金が必要な人もいる。それは否定しない。
だが、もし3ヶ月待てるなら、絶対にブログを始めるべきだ。
3ヶ月は、投資期間だと考える。あなたが積み上げている記事は、3ヶ月後に「働き始める資産」だ。
AIと二人三脚なら、「書く時間」は半分になる
「でも、育児の合間にブログ書く時間なんてない」
これも、よく聞く悩みだ。
2015年なら、その通りだった。1記事書くのに2〜3時間かかった。
しかし2025年、AIと二人三脚すれば、1記事20〜30分で完成する。
前回の記事で詳しく書いたが、プロセスはこうだ:
- 朝の10分、構成をAIと一緒に作る(授乳しながらでもできる)
- 夜の10分、AIに執筆してもらい、調整する(子どもが寝た後)
合計20分。これなら、育児の合間でも可能だろう。
しかも、この20分で作った記事は、あなたが2時間かけて書いた記事と同じか、それ以上の質になる。
在宅ライターとブログ、年単位で見るとこうなる
最後に、もう一度、数字で比較しよう。
在宅ライター(1文字0.5円)の場合
- 1年目:月2万円 × 12ヶ月 = 24万円
- 2年目:月2万円 × 12ヶ月 = 24万円
- 3年目:月2万円 × 12ヶ月 = 24万円
- 3年合計:72万円
毎月、書き続けなければならない。
休めば、収入はゼロ。
3年後も、状況は変わらない。
自分のブログの場合
- 1年目:月平均5万円 × 12ヶ月 = 60万円(最初の3ヶ月は少ないが、後半伸びる)
- 2年目:月10万円 × 12ヶ月 = 120万円(更新は月4記事程度)
- 3年目:月15万円 × 12ヶ月 = 180万円(更新は月2記事程度)
- 3年合計:360万円
しかも、3年目は月2記事(合計4時間)の作業で、月15万円。
時給換算すると、3万7500円だ。
あなたの体験は、もっと価値がある
最後に、これだけは伝えたい。
あなたの妊娠体験、出産体験、育児体験は、宝の山だ。
つわりで辛かった日々。
陣痛の痛み。
初めて抱いた時の感動。
夜泣きで泣きそうになった夜。
離乳食を作ったのに食べてくれなかった焦り。
これら全部が、誰かが知りたい「情報」だ。
その情報を、1記事450円で売ってしまうのは、あまりにもったいない。
あなたのブログに書けば、その記事は5年間、10年間、誰かを助け続ける。そして、あなたに収入をもたらし続ける。
今日から始められる「最初の一歩」
難しく考えなくていい。
まず、今日、こうしてみよう:
- スマホのメモ帳を開く
- 「最近困ったこと」を3つ書く
- それぞれについて、「どう解決したか(または解決していないか)」を書く
これだけで、3記事のネタができた。
明日、そのうちの1つをAIと一緒に記事にしてみる。20分で完成する。
1週間後、3記事できている。
1ヶ月後、12記事。
3ヶ月後、36記事。
その頃には、最初のアクセスが来始めている。
半年後、あなたは笑顔でこう言っているだろう。
「あの時、在宅ライターじゃなくて、ブログを始めて本当によかった」
さあ、今日から始めよう。
あなたの文章は、450円じゃない。
それは、毎月10万円を生み出す「資産」だ。
在宅ライターという「買取型」の罠から抜け出して、「積み上げ型」の自由を手に入れる。
その選択が、3年後のあなたの人生を変える。
あなたの体験には、もっと価値がある。それを、自分のものにしよう。
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