ブログ記事作成テンプレート、2025年ではもう通用しない—AI時代の「メタ台本設計術」

2015年、私はこう書いた。

「問題提起→原因→解決策→まとめ」ホントはもっと複雑だが・・・

この4部構成のテンプレートに沿って書けば、誰でもわかりやすい記事が書ける。実際、このテンプレートを使った記事は、日に2万PVを集めた。

しかし、2025年の今、このテンプレートだけでは戦えない。

いや、正確に言おう。テンプレート自体は悪くない。問題は、みんながこのテンプレートを使うようになったこと。そしてAIも、このテンプレートで書くようになったこと。

2015年の成功が、2025年の罠になった

あの頃、「PASONA(パソナ)の法則」という言葉を知っている人は少なかった。

Problem(問題提起)
Agitation(扇動)
Solution(解決策)
Narrowing down(絞り込み)
Action(行動)

このフレームワークに沿って記事を書くだけで、読みやすく、説得力のある文章ができた。

なぜ成功したのか?

当時のネットには、構造化されていない文章が溢れていたからだ。

「とりあえず思いついたことを書く」
「最初から最後まで、何が言いたいのかわからない」

そんな記事ばかりだった。

だから、きちんと構造化された記事は、それだけで価値があった。読者は「わかりやすい!」と感じ、Googleは「質が高い」と判断した。

しかし2025年。状況は一変した。

AIが、みんなのテンプレートを学習してしまった

ChatGPTに頼んでみよう。

「ニキビに悩む25歳女性向けに、スキンケア記事を書いて」

すると、こんな記事が返ってくる:

【導入】
社会人になってできた大人ニキビに悩んでいませんか?
・ニキビがいつまでも治らない
・治っても繰り返すのでつねに顔にできている
・生理前は特にひどくなって鏡も見たくない

【原因】
大人ニキビの原因は、ストレスとホルモンバランスの乱れです。
さらに、間違ったスキンケアが悪化させている可能性も…

【解決策】
1. 正しい洗顔方法
2. 保湿を徹底する
3. 生活習慣を見直す

【まとめ】
これらを実践すれば、ニキビのない美肌が手に入ります!

見覚えがないだろうか?

そう。10年前、私が外注さんに渡していたテンプレートそのものだ。

AIは、ネット上の無数の記事から「成功パターン」を学習した。その結果、誰に頼んでも、似たような記事が生成されるようになった。

Googleの「YMYL」が、ゲームのルールを変えた

さらに追い打ちをかけたのが、Googleの「YMYL(Your Money or Your Life)」という概念だ。

これは、「お金や健康に関わる情報は、専門性・権威性・信頼性がないと評価しない」というGoogleの方針である。

具体的には:

  • 健康・医療(ニキビ治療、ダイエット、妊娠・出産)
  • 金融(投資、保険、ローン)
  • 法律(離婚、相続、労働問題)
  • 安全(防災、育児の安全)

これらのテーマで、素人がPASONAテンプレートに沿って記事を書いても、Googleは評価しなくなった。

2015年なら、「私の体験談」でも上位表示された。しかし2025年、同じ記事を書いても、検索結果の5ページ目に埋もれる。

テンプレートは死んだのか?

いや、違う。

テンプレートの「使い方」が、進化したのだ。

2025年の勝ち筋:「メタ台本」という概念

ここで、新しい概念を紹介したい。

メタ台本である。

2015年のテンプレートは、「記事の構造」だった。
2025年のメタ台本は、「AIへの設計図」だ。

違いを説明しよう。

2015年のテンプレート(記事の構造)

1. 問題提起
2. 原因
3. 解決策(3つ)
4. まとめ

これを見ながら、人間が記事を書く。

2025年のメタ台本(AIへの設計図)

【記事の目的】
ニキビに悩む25歳女性が、皮膚科に行く前に自分でできる対策を知る

【ターゲットの詳細設定】
- 年齢:25歳、社会人3年目
- 状況:転職して環境が変わった
- 悩み:顎周りに繰り返すニキビ
- 試したこと:市販の薬、洗顔の変更
- 結果:改善せず、むしろ悪化
- 心理状態:「私の肌、おかしいのかな」と不安
- 検索意図:すぐ病院に行くべきか、もう少し自分で試せることがあるか知りたい

【記事の角度(差別化ポイント)】
- 「すぐ病院」vs「自分でできること」の判断基準を明確にする
- 皮膚科医が推奨する「受診前にやるべきこと」を紹介
- 実体験:私も同じ状況で、この方法で改善した

【構成の詳細】
1. 導入(300字)
   - 「また顎にニキビ…」朝の洗面所での絶望
   - 3つ質問形式で共感ポイント
   - この記事で得られること:受診すべきか判断できる

2. 判断基準(400字)
   - すぐ病院に行くべきサイン(3つ)
   - もう少し様子を見てもいいケース(3つ)
   - 根拠:皮膚科医のブログ記事を引用

3. 自分でできる対策(800字)
   - 対策1:洗顔を「減らす」(意外性)
     - なぜ有効か:皮脂の取りすぎが原因のケース
     - 具体的方法:朝は水だけ、夜だけ洗顔料
     - 私の体験:3日で変化を感じた
   
   - 対策2:保湿の「タイミング」を変える
     - なぜ有効か:浸透のメカニズム
     - 具体的方法:化粧水後、1分待ってから乳液
     - 専門家のコメント引用
   
   - 対策3:枕カバーを毎日変える
     - なぜ有効か:雑菌の繁殖
     - 具体的方法:バスタオルで代用するライフハック

4. 2週間試して変化がなければ(200字)
   - 迷わず皮膚科へ
   - 良い皮膚科の選び方(3つのポイント)
   - 保険適用の範囲

5. まとめ(200字)
   - 焦らなくていい、段階的に試そう
   - あなたの肌は、必ず良くなる

【トーン】
- 共感的だが、説教臭くない
- 専門用語は使わない
- 「大丈夫」という安心感を与える

【避けるべきこと】
- 断定的な医療アドバイス
- 「これで絶対治る」という表現
- 特定商品の過度な推奨

【引用する情報源】
- 皮膚科医のブログ記事(URL指定)
- 厚生労働省の肌ケアガイドライン
- 体験談(私自身の日記から)

【最終チェックポイント】
- YMYL配慮:断定を避け、「〜と言われています」「〜の可能性があります」を使う
- 読者の行動:この記事を読んだ後、何をすればいいか明確か?
- 差別化:他の記事と何が違うか?

これがメタ台本だ。

2015年のテンプレートと比べて、何が違うか?

  • 読者像が、圧倒的に具体的
  • 記事の角度(差別化)が明確
  • 各セクションの「なぜそう書くか」の理由が書かれている
  • YMYL対策が組み込まれている
  • AIへの指示が詳細

メタ台本の作り方:AIとの対話で「進化」させる

さて、このメタ台本をどう作るか?

最初から完璧なものは作れない。AIと対話しながら、進化させていく。

ステップ1:PASONAテンプレートをAIに出力させる

まず、基本形をAIに作ってもらう。

「ニキビに悩む25歳女性向けの記事を書きたい。
PASONAの法則に沿った記事構成を作って。
各セクションで何を書くべきか、詳しく教えて。」

AIが返してくる:

【Problem:問題提起】
- ニキビに悩む読者の気持ちに共感
- 3つの具体的な悩みを列挙

【Agitation:扇動】
- このまま放置するとどうなるか
- ニキビ跡、自信喪失、人間関係への影響

【Solution:解決策】
- 解決策1:洗顔方法の改善
- 解決策2:保湿の徹底
- 解決策3:生活習慣の見直し

【Narrowing down:絞り込み】
- 特におすすめの方法を強調
- 理由と根拠を提示

【Action:行動】
- 読者に具体的な行動を促す
- 「今日から試してみよう」

ここからが勝負だ。

ステップ2:対話で「肉付け」する

あなたがAIに聞く:

「この構成、よくあるパターンだよね。
2025年のGoogleは、こういう記事を評価しない。
どう差別化すればいい?」

AIが提案する:

【差別化ポイント案】
1. 逆説を使う:「洗顔を減らす」など常識と逆のアプローチ
2. 判断基準を示す:「病院に行くべきタイミング」を明確化
3. 実体験の詳細:単なる「効果があった」ではなく、日記形式で経過を示す
4. 専門家の引用:皮膚科医のブログ記事を根拠に
5. 非YMYL要素:肌ケアの「心理的側面」に焦点を当てる

「いいね!特に1と2を組み合わせよう。」

ステップ3:読者像を「解像度MAX」にする

あなたがAIに頼む:

「25歳女性って漠然としすぎ。
もっと具体的な人物像を作って。
名前、職業、生活パターン、検索に至った背景まで。」

AIが作る:

【ターゲット:美咲さん(仮名)】
- 年齢:25歳、社会人3年目
- 職業:IT企業のマーケティング担当
- 転職:3ヶ月前に転職、慣れない環境でストレス
- 睡眠:23時就寝、6時起床(以前は24時就寝)
- スキンケア:学生時代はニキビなし、最近顎周りに繰り返す
- 試したこと:
  - 市販のニキビ薬(効果なし)
  - 洗顔料を変えた(むしろ悪化)
  - 化粧水を高級品に(変化なし)
- 心理状態:
  - 「私の肌、おかしいのかな」
  - 「病院行くほどじゃないよね…」
  - 「でも人と会うのが憂鬱」
- 検索クエリ:
  - 「大人ニキビ 繰り返す 原因」
  - 「ニキビ 病院 行くべき」
  - 「顎ニキビ 治し方 即効」

「完璧!この美咲さんに向けて書けば、刺さる記事になる。」

ステップ4:YMYL対策を組み込む

あなたがAIに確認する:

「この記事、YMYLに引っかからない?
健康情報だから、書き方に注意が必要だよね。」

AIが警告と対策を出す:

【YMYL対策】
⚠️ 避けるべき表現:
- 「このニキビは〇〇が原因です」(断定)
- 「この方法で必ず治ります」(保証)
- 「病院に行く必要はありません」(医療否定)

✅ 使うべき表現:
- 「〇〇が原因の一つと考えられています」
- 「私の場合、この方法で改善しました」
- 「2週間試して変化がなければ、皮膚科の受診をおすすめします」

【信頼性の担保】
- 皮膚科医のブログ記事を引用(URL明記)
- 厚生労働省のガイドラインを参照
- 「あくまで一般的な情報です」と明記

「よし、これで安全な記事が書ける。」

ステップ5:最終的なメタ台本を生成

ここまでの対話を統合して、AIに頼む:

「今までの対話を全部まとめて、
この記事のための『メタ台本』を作って。
私がこれを見れば、最高の記事が書けるような、
詳細な設計図にして。」

AIが、冒頭で示したような、詳細なメタ台本を生成する。

所要時間:30分。

しかし、この30分で作ったメタ台本があれば、記事の質は3倍になる。

メタ台本は、テーマごとに「まったく違う」

ここが重要なポイントだ。

2015年のテンプレートは、どんなテーマでも同じだった。

  • 問題提起
  • 原因
  • 解決策
  • まとめ

しかし、メタ台本は、テーマごとに設計が変わる。

例1:YMYL領域(健康・お金)

  • 断定を避ける
  • 専門家の引用を必須に
  • 「判断基準」を示す(読者が自分で決められるように)
  • 「専門家に相談」を促す出口を用意

例2:エンタメ・趣味

  • 主観的な意見OK
  • 「私はこう思う」を前面に
  • 共感と体験談が武器
  • 結論を急がない、過程を楽しむ

例3:ビジネス・ノウハウ

  • 具体的な数字・実績を示す
  • 「なぜそうなるか」のロジックを重視
  • 再現性を担保
  • ステップバイステップの明確さ

例4:体験レビュー

  • 「良かった点」「悪かった点」の両論併記
  • 写真・動画での証拠
  • 「こんな人におすすめ/おすすめしない」の明確化
  • 比較対象を示す

だから、「万能テンプレート」は存在しない。

各テーマに最適化されたメタ台本を、AIと一緒に作る。これが2025年の正解だ。

YMYL領域では勝負しない—という選択肢

ここで、もう一つ重要な戦略を伝えたい。

YMYL領域で戦わない。

2015年、私は育児ブログで稼いでいた。しかし今、同じテーマで新規参入するのは賢明ではない。

なぜなら:

  • Googleがプロの情報を優遇する
  • 個人ブログは上位表示が難しい
  • AI生成記事との差別化が困難

では、どこで戦うか?

戦略1:YMYL「周辺」を攻める

健康情報ではなく、「健康情報を調べる人の心理」を書く。
投資ノウハウではなく、「投資を始めようか迷う人の葛藤」を書く。

YMYL情報そのものではなく、その周辺の「感情」や「プロセス」を扱う。

戦略2:ハイパーニッチを狙う

「育児全般」ではなく、「2人目育児と1人目の差」に特化。
「ダイエット」ではなく、「産後ダイエットに失敗した人の2回目チャレンジ」に特化。

検索ボリュームは小さいが、刺さる人には強烈に刺さる。

戦略3:AI×人間のハイブリッド領域

AIが書けない「超具体的な体験談」と、AIが得意な「情報整理」を組み合わせる。

例:

  • 「双子育児の1日のスケジュール(分刻み)」をAIに整理させる
  • 「田舎移住の初年度でかかった全費用」をAIに分析させる
  • 「10社の転職面接で聞かれた質問全リスト」をAIにパターン化させる

AIにはできない「一次情報」を、AIの整理能力で価値化する。

プロンプト自体を「2〜3倍のボリューム」に進化させる

最後に、上級テクニックを一つ。

メタ台本を作ったら、それをAIに渡して、さらに詳細化させる。

「このメタ台本を見て、さらに改善点はない?
特に:
- 読者の心理描写をもっと深く
- 各セクションの『なぜこう書くか』の理由を追加
- 避けるべき表現のNG例を具体的に
- 参照すべき情報源のリストアップ

このメタ台本を、2〜3倍のボリュームに進化させて。」

AIが返してくる、さらに詳細なメタ台本。

これを使えば、外注ライターに依頼しても、ブレない記事が上がってくる。

いや、AIに執筆させても、あなたの意図が正確に反映される。

2015年と2025年、何が変わったか

変わらないこと:

  • 構造化された記事が読まれる
  • 読者の悩みに共感することが重要
  • 具体的な解決策を示す必要がある

変わったこと:

  • テンプレートだけでは不十分
  • テーマごとに最適化が必要
  • YMYL対策が必須
  • AIとの協働が前提
  • 「メタ台本」という設計図が勝敗を分ける

そして、最も大きな変化:

2015年:テンプレートに沿って「書く」
2025年:メタ台本を作って「設計する」

書くのはAIに任せる。あなたは設計に集中する。

明日から始める「メタ台本作り」

具体的なステップを示そう。

  1. 書きたい記事のテーマを決める
  2. AIに「PASONAテンプレートを作って」と依頼
  3. 対話で肉付け:読者像、差別化、YMYL対策
  4. 統合して「メタ台本」を生成
  5. そのメタ台本をAIに渡して記事を書かせる

所要時間:30〜40分。

しかし、この40分で作った記事は、2時間かけて書いた記事より、質が高い。

なぜなら、設計が完璧だからだ。


2015年、私は書いた。

「準備段階が何よりも重要」

2025年、私はこう言おう。

「メタ台本という設計図が、すべてを決める」

テンプレートは死んでいない。進化したのだ。

問題提起→原因→解決策という「型」は残る。しかし、その型を「どう使うか」の設計図が、勝敗を分ける。

AIはツールだ。しかし、設計図がなければ、薄っぺらい記事しか書けない。

メタ台本という設計図を持てば、AIは最高の執筆パートナーになる。

さあ、今日から「メタ台本」を作ろう。

あなたが30分かけて設計したメタ台本が、10記事、20記事、100記事の質を決める。

2015年のテンプレートは卒業だ。2025年は、メタ台本設計者になる。

コメント

    • けいけい
    • 2017.11.18 5:21am

    僕もブログ書いてます。
    感動しました。
    スマホの音声入力のページからきました。
    今現在、スランプに陥っていて、文章書くのに多大なる時間がかかっていました。
    しかし、りんやさんのブログを見て、目から鱗がおちました。

    とてつもなく、頭が切れるかただなと思いました。

    僕も必ずブログで生計立てて、一旗あげます。
    その時にぜひ、お会いさせていただきたいです。
    その時は前向きな仕事の話をできたらいいですね^_^

    これからもまたちょくちょく見させていただきます。

    こんなメールしたの初めてです。

    頑張ります。

    ではでは!

    • 誠太
    • 2018.12.31 1:31pm

    始めまして、誠太と言います。

    テンプレートを探していたところだったので、とても参考になりました!

    今後のブログ作りにとても役立たせることが出来ると思います。

    ありがとうございました♪

PAGE TOP