「また書けなかった…」
夜中の2時。あなたはパソコンの前で頭を抱えている。
書き始めて4時間。まだ800文字。しかも読み返すと、何が言いたいのかよくわからない。明日も仕事がある。子どもは朝6時に起きる。でもブログは書かなきゃいけない。
このままでは、100記事到達する前に燃え尽きる。
2015年、私はこう書いた:「1記事書くのに2時間以上かかる人は、ポイントの整理ができていない」
2025年の今、状況はさらに複雑になった。あなたの目の前には、強力な武器がある。ChatGPT、Claude、Gemini。これらのAIは、あなたに代わって文章を書いてくれる。
だが、多くの人がこう考える:
「AIに書いてもらえば、もう悩まなくていいんだ!」
それは、半分正解で、半分間違いだ。
なぜAIに書かせても「薄っぺらい記事」になるのか
AIに「授乳で悩むママ向けの記事を書いて」と頼む。
3秒後、1500文字の記事が完成する。素晴らしい。時短だ。
しかし、読んでみると…何か物足りない。どこかで見たような内容。ググれば出てくる情報の寄せ集め。あなた自身が読んでも「ふーん」で終わってしまう。
なぜか?
AIは「何を書くか」を知らないからだ。
いや、正確には、「あなたが何を書きたいのか」を理解していない。授乳の悩みと言っても、初産の27歳ママと3人目出産の38歳ママでは、抱える問題がまったく違う。
AIは平均値を出す。しかし、平均値は誰の心にも刺さらない。
10年前の私が気づいた「構成の魔法」
2015年、私は妊娠中や育児中の女性に、こうアドバイスしていた:
「いきなり書き始めるな。まず構成を作れ。」
これは今も変わらない真理だ。いや、AI時代だからこそ、さらに重要になった。
当時の私は、紙とペンで構成を作っていた:
- 小見出しを5つ決める
- それを重要度順に並べる
- 各見出しに300-400文字を埋める
- 最後に書き出しを工夫する
これだけで、1000文字の記事が20分で書けた。
なぜ構成が必要なのか?
建築で例えよう。家を建てる時、いきなり柱を立てたりしない。まず設計図を描く。どこにリビングを配置するか、階段はどこに設けるか。それを決めてから、施工が始まる。
ブログも同じだ。
「何を書くか」を決めずに書き始めるのは、設計図なしで家を建てるようなもの。途中で迷子になり、完成した時には「あれ、これ何の家だっけ?」となる。
AI時代の「構成」は、二人三脚で作り上げる
さて、2025年。
私たちには、AIという強力なパートナーがいる。しかし、使い方を間違えると、時間だけが無駄になる。
正しい使い方はこうだ:
ステップ1:構成をAIと一緒に作る(これが最重要)
ここが最大のポイントだ。
多くの人は「構成は全部自分で考えなきゃ」と思い込んでいる。あるいは逆に「AIに全部考えてもらおう」と丸投げする。
どちらも間違いだ。
正解は、AIとディスカッションしながら、二人三脚で構成を練り上げることだ。
具体的に見てみよう。
【第1ラウンド】あなたの頭の中を言語化する
まず、あなたがAIに話しかける:
「産後の授乳」についての記事を書きたい。
ターゲットは初産の27歳ママ。
夜中に赤ちゃんが泣き止まなくて、自分を責めている。
義母から「昔は出たのに」と言われて傷ついている。
そんな人に向けて、記事を書きたい。
まず、どんな構成が考えられる?
AIが返してくる:
【構成案】
1. 導入:夜中の3時、泣き止まない赤ちゃんとあなた
2. 共感:「私のせいだ」と思ってしまう気持ち
3. 原因:おっぱいが出ない3つの理由
4. 解決策:私が試して効果があった5つの方法
5. まとめ:焦らなくていい、あなたは頑張っている
ここで終わってはいけない。
【第2ラウンド】フィードバックと深掘り
あなたがAIに返す:
いいね!でも「原因」の部分、もっと具体的にしたい。
医学的な話じゃなくて、「ああ、それ私だ!」と思えるような。
それと、「解決策」は5つじゃ多すぎる。
読者は疲れてるから、本当に効果があった3つに絞りたい。
AIが修正案を出す:
【修正案】
3. 原因:こんな生活してませんか?—出ない理由は意外なところに
- 水を飲む暇もないほど忙しい毎日
- 義母の一言がストレスになっている
- 抱き方を誰も教えてくれなかった
4. 解決策:私が試して「これだ!」と思った3つの方法
- 方法1(具体的に)
- 方法2(具体的に)
- 方法3(具体的に)
さらに続ける。
【第3ラウンド】読者の感情に寄り添う
あなたがAIに聞く:
「導入」の部分、もっと具体的なシーンが欲しい。
夜中の3時って、どんな状況?どんな気持ち?
読者が「わかる、わかる!」と泣きそうになるような。
AIが提案する:
【導入の詳細案】
- 時計を見る。午前3時15分。
- 赤ちゃんはもう1時間泣き続けている。
- 何度おっぱいを含ませても、すぐに泣き出す。
- 隣の部屋で夫はいびきをかいている。
- 「私のおっぱいが悪いんだ」そう思うと、涙が止まらない。
これだ!
【第4ラウンド】最終調整
あなたがAIに確認する:
完璧!これで構成は固まった。
あと、各セクションの文字数はどれくらいがいい?
全体で2000字くらいにしたい。
AIが答える:
全体2000字なら:
- 導入:300字(読者の心を掴む)
- 共感:200字(短く、でも深く)
- 原因:500字(3つ×150字程度)
- 解決策:800字(3つ×250字程度)
- まとめ:200字(希望を残して終わる)
所要時間:15分。
しかし、この15分で作った構成は、あなた一人で1時間かけて作った構成より、遥かに質が高い。
なぜか?
AIは客観的な視点を持ち込み、あなたは感情と経験を持ち込む。二人の強みが融合するからだ。
ステップ2:各見出しの「核」も対話で決める
構成が決まったら、次は各セクションの中身だ。
ここでも、AIとディスカッションする。
「原因」の最初「水を飲む暇もない」の部分。
どういう書き方がいいかな?
説教臭くならずに、でも「確かに飲んでない!」と気づかせたい。
AIが提案:
【書き方案】
「そういえば、今日何リットル水飲んだ?」
朝から数えてみると…コップ2杯?
授乳中は1日2リットル必要なのに、
実際は500mlも飲んでいない。
これじゃ出るものも出ない。
「いいね!この調子で他の部分も…」
こうして、二人三脚で記事の設計図が完成していく。
所要時間:プラス10分。合計25分。
ステップ3:AIに「構成を渡して」執筆してもらう
ここでようやく、本格的な執筆に入る。
しかし、もうほとんど完成しているようなものだ。なぜなら、構成の段階で、書くべきことがすべて決まっているから。
以下の構成で、産後の授乳に悩むママ向けの記事を書いてください。
各セクションの文字数と、書き方の方向性も示しておきます。
【構成】
(先ほどAIと一緒に作った、詳細な構成を貼り付ける)
AIは、あなたと一緒に練り上げた設計図に従って、文章を書く。所要時間:30秒。
合計所要時間:25分30秒。
しかし、この25分で作った記事は、あなたが一人で2時間かけて書いた記事より、3倍濃い。
なぜ「二人三脚」が最強なのか?
ここで、重要な問いに答えよう。
「なぜ、AIに全部任せちゃダメなの?」
「なぜ、一人で全部考えちゃダメなの?」
答えは、お互いの弱点を補うからだ。
あなたの強み・AIの弱み
- 感情:あなたは「義母の一言が刺さる」感覚を知っている。AIは知らない。
- 体験:あなたは夜中に泣きながら授乳した記憶がある。AIにはない。
- 直感:「この表現、冷たく感じる」とあなたは気づく。AIは気づかない。
AIの強み・あなたの弱み
- 構造化:AIは情報を整理し、論理的な流れを作るのが得意。
- 客観性:あなたが見落とす視点を、AIは提示できる。
- スピード:文章化の速度は、人間の100倍。
この二つが合わさると、魔法が起きる。
一人で考えると、主観に偏る。感情的になりすぎる。客観的な視点が欠ける。
AIに丸投げすると、平均的になる。体温が失われる。誰にも刺さらない。
だから、二人三脚なのだ。
「短い文章」の威力—2025年はさらに重要に
構成ができたら、次は文章のリズムだ。
10年前、私はこう書いた:
「1文は20〜30文字。読点の前で文を切れ。」
これは今も変わらない。いや、むしろスマホ全盛の今、さらに重要になった。
スマホで読まれる記事は、「流し読み」が前提だ。電車の中、信号待ち、授乳中。誰も集中して読んでいない。
長い文章は、読まれない。
悪い例:
初めに来た方は、ちょっと合わなかったので他の人にお願いしましたが(それもありです)結果、素晴らしいおばさんが来てくれてすべてお任せしていました。
良い例:
初めに来た方はちょっと合いませんでした。
なので他の人にお願いしました。
その結果、すべてを任せられる素晴らしいおばさんが来てくれました。
違いがわかるだろうか?
後者は、目を動かさずに読める。リズムがある。疲れない。
AIに書かせた文章も、必ずこのチェックをする。
いや、もっといい方法がある。
AIに聞けばいいのだ:
この文章、読みやすくするために文を短く切って。
1文30文字以内で。リズムよく。
AIが修正してくれる。所要時間:10秒。
これも二人三脚だ。
書き出しの「3つの悩み提示」が、今も最強である理由
2015年、私は記事の冒頭で、必ず3つの悩みを提示していた。
・ベビーシッターはどうやって見つける?
・料金はどんなもの…あまりにも高いところは頼めない
・もし、自分に合わない人が来ちゃったらどうしよう…
この書き方は、2025年の今も最強だ。
なぜか?
読者は、自分の悩みが書かれているか、3秒で判断するからだ。
Googleで検索して記事を開く。タイトルを見る。書き出しを読む。「これ、私のことだ!」と思えば、続きを読む。そうでなければ、離脱する。
このプロセスは、10年前も今も変わらない。
だからこそ、書き出しで「あなたの悩みを理解していますよ」と示す。3つの具体例を挙げる。
しかし、この3つをどう選ぶか?
ここでもAIに相談だ:
「授乳が出ない」悩みを持つママが抱える、
より具体的な悩みを5つ教えて。
その中から、最も共感を呼ぶ3つを選びたい。
AIが提示:
1. 夜中に赤ちゃんが泣き止まず、自分を責めてしまう
2. 義母から「昔は出たのに」と言われて傷つく
3. ミルクに切り替えるべきか迷っている
4. 搾乳器を使っても全然出ない
5. 母乳外来に行くお金と時間がない
あなたが選ぶ:
1、2、5がいい。
4の搾乳器は、まだ持ってない人もいるから。
3のミルク議論は、別記事にしたい。
30秒で、最適な書き出しが決まる。
10年前と今、変わらないこと・変わったこと
変わらないこと:
- 構成を作らないと、良い記事は書けない
- 短い文章が、読まれる
- 書き出しの3秒で、勝負が決まる
- 100記事入れた時がスタートライン
変わったこと:
- 構成を「一人で」作る必要はなくなった
- AIとディスカッションしながら、より良い構成が作れる
- 「考える」と「書く」を分業できる
- しかし「考える主導権」は、絶対に手放してはいけない
明日から実践できる「25分執筆術」
最後に、具体的なワークフローを示そう。
【朝の15分】構成をAIと作る
- コーヒー飲みながら、AIと対話
- 記事のテーマと読者像を伝える
- AIの提案にフィードバック
- 3〜4往復のディスカッション
- 詳細な構成が完成
【夜の10分】執筆と調整
- 完成した構成をAIに渡す
- AIが記事を書く(30秒)
- あなたが読んで、長い文を指摘
- AIが修正(10秒)
- 書き出しの感情をチェック
- 最終調整
合計25分。2000字の記事、完成。しかも質は3倍。
最後に:「孤独な執筆」から「対話する創作」へ
10年前、私はこう締めくくった:
「慣れてくれば1000文字程度であれば20分もかからずに作成することが可能になる」
2025年の今、私はこう言おう:
「AIと対話すれば、2000文字を25分で、しかも一人では到達できない質で作成できる」
ただし、条件がある。
AIに丸投げしないこと。
しかし、一人で抱え込まないこと。
対話しながら、二人三脚で作り上げること。
あなたは建築家だ。AIは相棒の設計士だ。
「ここにリビングを置きたい」とあなたが言う。
「それなら、採光をこう工夫しては?」とAIが提案する。
「いいね!じゃあ窓はこの位置で」とあなたが決める。
「わかりました。図面に起こします」とAIが実行する。
この対話の中に、創作の喜びがある。
一人で悩んで2時間。頭を抱えて800文字。
その日々は、もう終わりだ。
AIと25分対話して2000文字。「いい記事書けた!」と笑顔で子どもと遊ぶ。
それがあなたの新しい日常になる。
今夜はもう寝よう。
明日の朝、コーヒーを淹れて、AIに話しかけてみる。「こんな記事を書きたいんだけど」と。
そこから始まる対話が、あなたを新しいステージに連れて行く。
孤独な執筆は終わった。対話する創作が、始まる。
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