長きにわたる連載、お疲れ様だった。
第1回で「黒い画面が怖い」と震えていたあなたが、気づけばどうだ?
- Gmailで自分を叱咤し
- カレンダーとタスクを毎朝統合し
- YouTubeのトレンドを寝ている間に収集し
- フォームを一瞬で量産し
- 顧客対応を0.1秒で終わらせ
- 大量のアンケートをAIに読ませている
今のあなたは、紛れもなく「エンジニア」だ。
ただし、コードをガリガリ書く従来型のエンジニアではない。
AIという超優秀な部下を顎で使い、美味しいところだけを持っていく「自動化の司令塔」だ。
最終回の今日は、この講座の総括として、これからの時代をどう「楽」して生き抜くか、その極意を伝えたい。
「指示出し」は、もはや悪口ではない
世間では「指示だけして自分は何もしない人」を「指示待ち人間」や「働かないおじさん/おばさん」と揶揄することがある。
だが、AI時代においては、その評価は180度逆転する。
「適切な指示だけ出して、自分は手を動かさない」
これこそが、最も生産性が高く、最も価値のあるスキルになるからだ。
AIは、文句も言わず、24時間働き、ミスもしない(たまにするが、それはあなたの指示が悪い)。
そんな最強の部下がいるのに、上司であるあなたがチマチマと手作業をしてどうする?
あなたがやるべきは、作業ではない。「何をさせるか」を決めること(意思決定)と、「どう伝えるか」を練ること(言語化)だけだ。
あなたが手に入れたのは「翻訳スキル」だ
この講座を通じて、あなたはJavaScriptの文法を暗記したわけではない。
もっと本質的なスキル、すなわち「欲望の翻訳スキル」を手に入れたはずだ。
- 欲望(Input): 「あー、この作業ダルい。死ぬほど面倒くさい」
- 翻訳(Process): 「ということは、AのデータをBに移して、Cなら通知すればいいんだな」
- 指示(Output): 「おいAI、今の条件でコード書け」
このプロセスさえ身につけていれば、使う言語がGASだろうがPythonだろうが、あるいは来年出る新型AIだろうが関係ない。
ツールが変わっても、「怠惰な欲望」を論理に変換する力さえあれば、あなたは永遠に自動化の恩恵を受け続けられる。
これからの世界は「使える奴」と「使われる奴」に分かれる
残酷な話をしよう。
今後、AIはますます進化する。Gemini 2.0、3.0とバージョンが上がるにつれ、できることは無限に増えていく。
その時、世界は二分される。
- AIを使う側: 面倒なことを全てAIに押し付け、空いた時間でクリエイティブなことをしたり、早く帰ってビールを飲んだりする人。
- AIに使われる側: AIでもできる仕事を、AIよりも遅いスピードで手作業し続け、「忙しい」と嘆き続ける人。
あなたはもう、前者のチケットを手に入れている。
そのチケットを有効期限切れにしない方法はただ一つ。「我慢しないこと」だ。
少しでも「不便だな」「繰り返しだな」と思ったら、すぐに思い出してほしい。
「待てよ、これは私がやる仕事か? GASとAIにやらせるべき仕事じゃないか?」と。
さあ、PCを閉じて祝杯をあげよう
プログラミング学習において、最も重要なのは「挫折しないこと」だった。
だが、AIがいれば挫折しようがない。エラーが出たらAIに怒り、コードが書けなければAIにねだればいいのだから。
この講座はこれで終わりだが、あなたの「自動化ライフ」は始まったばかりだ。
職場を見渡してみろ。まだ手作業でコピペしている同僚がいるだろう?
彼らにこの魔法を教えてあげるもよし、自分だけの秘密にして涼しい顔で定時退社するもよし。
重要なのは、あなたが「時間の自由」を手に入れたという事実だ。
空いた時間で何をしようか?
新しいスキルを学ぶ? 副業を始める? それとも、ただただダラダラする?
何でもいい。その「選択の自由」こそが、自動化がもたらす最高の報酬なのだから。
それでは、またどこかの「効率化の沼」でお会いしよう。
お疲れ様でした!
(全8回・完)
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