2014年、私は一つの実験を始めた。
「記事を一切自分で書かない育児ブログ」である。すべて外注のライターさんに任せ、キーワードすら指定しない。ただひたすら、1500文字以上の記事を積み上げていく。当時としては、かなり挑戦的な試みだった。
そして2025年。状況は劇的に変わった。
今、あなたの目の前には「AIに記事を書かせる」という、さらに手軽な選択肢がある。ChatGPT、Claude、Gemini。これらに「育児ブログの記事を書いて」と頼めば、数秒で1500文字の記事が完成する。
だが、ちょっと待ってほしい。
その記事、本当に読まれるだろうか?
AIに直接書かせた記事が「薄っぺらい」理由
AIは優秀だ。驚くほど優秀である。
しかし、AIに「育児ブログの記事を書いて」と丸投げすると、必ず起きる現象がある。それは**「誰にでも書ける、誰も読まない記事」**が生まれることだ。
なぜか?
AIは「平均」を出力するからである。ネット上に存在する無数の育児記事の平均値。それは確かに間違いではない。しかし、誰の心にも刺さらない。あなた自身が読んでも「ふーん」で終わってしまう、そんな記事だ。
2014年の私の実験ブログは、外注ライターさんという「人間」が書いていた。彼女たちには実体験があった。夜泣きに悩んだ記憶、イヤイヤ期に泣きそうになった経験、保育園選びで迷った葛藤。
その「体温」が、記事に宿っていた。
台本という名の「設計図」が、すべてを変える
ここで、私がAI時代に辿り着いた一つの結論を共有したい。
最高のコンテンツは、詳細すぎる台本から生まれる。
これは料理に例えるとわかりやすい。
「カレーを作って」とAIに頼むのと、「玉ねぎを飴色になるまで30分炒め、トマトの酸味を活かしつつスパイスは…」と詳細なレシピを渡してから作ってもらうのとでは、完成度が2段階違う。
私が今、ブログ記事を作る時の手順はこうだ:
- 台本(構造化された設計図)を作る
- 誰に向けて書くのか
- どんな悩みを解決するのか
- どういう流れで語るのか
- どんな体験談や具体例を入れるのか
- その台本をAIに渡す
- AIが台本に基づいて執筆する
この差は、想像以上に大きい。
台本を作る過程で、あなたは「記事の骨格」を考える。この思考プロセスこそが、コンテンツのステージを変えるのだ。
「1ソースマルチユース」の究極形
さらに、台本にはもう一つの威力がある。
台本さえあれば、ブログ、Podcast、YouTube、SNS投稿と、自由自在に展開できる。
2014年の私は、ブログ記事を一つ一つ、外注さんに依頼していた。それはそれで機能したが、横展開は難しかった。
しかし今は違う。
一つの詳細な台本から、こんなことができる:
- ブログ記事版(2000字)
- Twitter/X投稿版(280字×5ツイート)
- YouTube台本版(10分動画用)
- Podcast台本版(15分音声用)
- Instagram投稿版(画像+キャプション)
すべて同じ台本から生まれる。
これが「1ソースマルチユース」の究極形である。しかも、台本という「核」があるから、どの媒体でも一貫性が保たれる。
あの実験ブログは、今どうなったのか
2014年に始めた育児ブログの話に戻ろう。
当時、記録していたアクセス推移はこうだった:
- 1ヶ月目(4記事): ほぼゼロ
- 2ヶ月目(18記事): 日に数PV
- 3ヶ月目(33記事): 日に10〜20PV(ここで多くの人が挫折する)
- 4ヶ月目(90記事): 日に50〜100PV
- 5ヶ月目(113記事): 日に100PV超え
- 6ヶ月目(189記事): 日に300〜500PV
- 7ヶ月目(209記事): 日に1000PV達成
そしてブログを書いた2015年3月時点では、日に7,000PV。月間AdSense収益は約10万円だった。
では、2025年の今は?
正直に言おう。このブログは、もう更新していない。
なぜか?
当時の手法—外注に丸投げしてキーワードも考えず記事を積み上げる—は、確かに「数の暴力」で機能した。しかし、それは時間という膨大なコストと引き換えだった。
今、同じことをAIでやろうとする人がいる。「AIに100記事書かせて、とりあえず投稿すればいい」と。
それは、10年前の私と同じ過ちを繰り返そうとしている。
AI時代の「魔の3ヶ月」は、もっと残酷だ
2014年当時、私はこう書いた:
「3ヶ月はにっちもさっちもいかないのは普通」
これは今も変わらない。いや、むしろ状況は厳しくなった。
なぜなら、AI生成記事で溢れかえったネットの海で、薄っぺらいコンテンツは誰にも見向きもされないからだ。
Googleは賢い。AIが吐き出した「平均的な記事」を見抜く。読者はもっと賢い。3秒で「この記事、中身がない」と判断して離脱する。
だからこそ、2025年に必要なのは「量」ではない。
台本という設計図に基づいた、構造化されたコンテンツである。
台本思考は、ブログを超えて広がる
興味深いことに、この「台本思考」はブログだけに留まらない。
私は最近、これをJSONデータベース設計にも応用している。プログラムをいきなり書くのではなく、まず「データ構造の台本」を作る。するとコードの品質が明らかに上がる。
なぜか?
台本を作る過程で、あなたは全体像を俯瞰し、構造を理解するからだ。
これはあらゆる創作活動、あらゆる設計業務に共通する真理である。
建築家は設計図なしに家を建てない。
映画監督は脚本なしに撮影を始めない。
料理人はレシピなしに新作を生み出さない。
なのに、なぜコンテンツ制作だけが「AIに丸投げ」で済むと思うのだろうか?
プロンプトエンジニアリングは「指示」ではなく「設計」である
2025年、新しいスキルが求められている。
それがプロンプトエンジニアリングだ。
多くの人は、これを「AIへの上手な指示の出し方」だと勘違いしている。違う。
プロンプトエンジニアリングとは、AIと協働するための設計スキルである。
良いプロンプトは、良い台本に似ている:
- 目的が明確
- 構造が整理されている
- 具体例が豊富
- 制約条件が明示されている
- 期待する出力のイメージが共有されている
これは単なる「指示」ではない。「設計図」なのだ。
では、具体的にどうすればいいのか?
ここまで読んで、「で、結局どうすればいいの?」と思ったあなたへ。
明日から実践できるステップを示そう:
ステップ1: まず、台本のテンプレートを作る
ブログ記事の台本には、最低でもこれらを含める:
- ターゲット読者:誰に向けて書くのか(具体的に)
- 解決する悩み:何に困っている人なのか
- 記事の構成:起承転結、または問題→解決の流れ
- 具体例:3つ以上の実例や体験談
- アクション:読者に何をしてほしいのか
ステップ2: 台本を充実させる(ここが最重要)
AIに「育児ブログの記事を書いて」と頼む前に、あなた自身がこの台本を埋める。
- イヤイヤ期に悩む母親の、具体的な朝の情景を書く
- 夜泣き対策で試して失敗した方法を3つ挙げる
- 保育園選びのチェックリストを10項目作る
この作業中、あなたは学んでいる。
実は、台本を作る過程で、自分が知らなかった知識や視点に出会う。それをリサーチし、台本に組み込む。この「執筆しながら学ぶ」体験が、驚くほど楽しい。
ステップ3: AIに台本を渡し、執筆を依頼する
ここでようやくAIの出番だ。
詳細な台本があれば、AIは驚くほど質の高い記事を書く。なぜなら、「平均」ではなく、「あなたの設計図」に基づいて書くからだ。
ステップ4: 台本を使い回す
同じ台本から、YouTube台本を作る。Podcast用に調整する。Twitter投稿に分割する。
一つの台本が、5つのコンテンツになる。
これが本当の効率化である。
「100記事入れた時がスタートライン」は、今も真実か?
2014年の私は書いた:
「0記事がスタートラインではなく、100記事入れた時がスタートラインです」
これは2025年の今も真実だ。しかし、意味が変わった。
10年前の「100記事」は、ただの数だった。質より量。とにかく記事を積み上げれば、いつかGoogleが評価してくれた。
今の「100記事」は、100本の台本を意味する。
100本の台本を作る過程で、あなたは:
- ターゲット読者を深く理解する
- 悩みの構造を把握する
- 解決策のパターンを習得する
- コンテンツ設計のスキルを磨く
これらの経験値こそが、あなたの資産になる。AIはツールだ。しかし、ツールを使いこなす技術は、人間にしか身につかない。
最後に:AIに勝てない時代に、何で差別化するのか
これだけは覚えておいてほしい。
AIは誰でも使える。だからこそ、AIの「使い方」で差がつく。
2014年、私は外注ライターさんに丸投げした。それでも成果は出た。なぜなら、当時はまだ「数の暴力」が通用したからだ。
2025年、AIに丸投げしても成果は出ない。なぜなら、みんなが同じことをしているからだ。
差別化するのは、台本という設計図を作る能力である。
構造化して考える力。
読者の悩みを深掘りする力。
体験を言語化する力。
複数の媒体に展開する視点。
これらは、AIには(まだ)できない。
そして、これらのスキルを磨く最高の修行場が、「台本作り」なのだ。
さあ、あなたは今日から何を始めるだろうか?
AIに「ブログ記事を書いて」と丸投げするのか。
それとも、詳細な台本を作り、AIと協働するのか。
その選択が、3ヶ月後のあなたの姿を決める。
トンネルは今も続いている。しかし、台本という地図を持てば、出口は見える。
こんばんは、こちらの記事、興味深く拝見させていただきました。
継続して更新していれば自然とアクセスは集まってくるんですね。
差し支えなければ発注の仕方についてお聞きしたいのですが、書くネタはご自分で準備して発注することになりますか?それとも、ジャンルを指定してライターさんにお任せでしょうか?
その辺り気になりましたのでご教示いただけると幸いです。
こんにちは。コメントありがとうございます。
外注さんへの発注の仕方ですが私は個人個人で分けています。
最初は、キーワードと文章のテンプレート(書き方)を渡して10記事書いて頂くまでは様子を見ます。
センスのいい外注さんにはそのまま丸投げです。
次回からはキーワードすらも外注さん自身で考えてもらうようにしています。
しかし、この外注さんに任せたような位置づけのブログはどこまでも青天井でアクセスが伸びていくわけではありません。
必ずどこかで限界が来ます。なので、限界が来てからは「現状維持」を目標に更新頻度も下げます。
(具体的には月10万稼げるブログを1万円で更新していただくイメージです。)
そして、私自身は新しいブログを育てるようにします。
こんばんは。返信いただきありがとうございます。
なるほどそうなんですね。
ビジネス視点でサイト運営をするには、外注さんにどこまでお任せするのかの線引きは避けて通れない悩みで深いです・・・最終的には個別対応ですよね
投資対象としてのブログの考え方非常に参考になりました。
Twitterなどやっていらっしゃったらフォローさせていただきたいのですが、アカウントはございますでしょうか。
こんにちは。参考にしていただければ幸いです。外注さんの「どこまで?」の線引は最初は本当に悩みました。今も正解はないと思います。最近は他のアドセンスブログばかり目が言ってこの、自身のブログは全然書けていませんがこうしてコメントいただけるのは嬉しいです。(たった5記事)twitterはアカウントありませんがLINEでよろしければいつでもお話できますのでまた!!。
私もどうやってこちらのブログにたどり着いたのか・・・確かに5記事ですが、どれも濃い内容で勉強になりました。
すみません一つ追加で質問なのですが、この方式でブログを作る際は、個人ブログ風(ある程度プロフィール欄を作ったり)にしていらっしゃいますか。それとも、キャラクターは出さない方向でしょうか。
LINEですか!?どうやってご連絡をとればよいのでしょう・・・
>>個人ブログ風(ある程度プロフィール欄を作ったり)にしていらっしゃいますか。それとも、キャラクターは出さない方向でしょうか。
このブログにつきましてはキャラクターは一切出していません。複数の外注さんに依頼する場合はキャラ設定をしてしまうとどうしても矛盾する部分が出てくるためです。
また、外注さん個別のキャラ設定も一切していません。
どうもあまり得意ではないようです。笑
LINEなんですがまず
quiet787ipad★gmail.com
までご連絡いただければと思います。
(★を@に変えてください)よろしくお願いします。
こんにちは。こちらの記事、大変興味深く読ませていただきました。
300~500記事も入れるというのはとてもビックリしました。
ここに達するまでに諦めていました。
わたしもアフィリエイトを始めたばかりで月に2,3万円しか稼げていませんが
外注化について少しお尋ねします。
ランサーズなどで依頼する場合、1000文字の記事はいくらくらいで作業していただけるでしょうか。
相場とかあると思いますが、なかなか人が集まらないと友達が言っていました。
また別の記事では、ヤフー知恵袋から気になる悩みと回答を抜き出して、外注さんにアウトライン作成、修正加筆を依頼すると書かれていました。
この場合、リライトや書き直しとして依頼を出せばいいでしょうか。単価はどのくらいになるでしょうか。
お手すきの時にお返事いただけると嬉しいです。
ryu
ryuさん。コメントありがとうございます。
お互い頑張りましょう!
これは、あくまでアドセンスをメインで考えた場合です。
物販アフィリだとここまでたくさんの記事は必要ありません。
明確な金額はないです。
が、無理やり金額を設定するなら
初めての方なら1000文字なら500円が限界かな?くらいです。
過去の例としては200円が最低でした。
今は、1000文字では募集かけません。
やっぱりボリュームが足りないので1800文字以上で1000円くらいで外注しています。
ただ、外注する場合はいかに作業工程を自分で説明できるかが大事で
ここが欠けるととんでもない記事が納品されたりするので
丸投げしてしまうやり方は非常にリスクが高いです。
・キーワードすら丸投げ
・見出しの設定などもお任せ
・そもそもこちら側が良い記事を書いてもらうための準備をしていない
などなど、様々な要因が重なって
たとえ10万円かけてもその金額を回収できないサイトが出来上がる可能性もあります。
なので、一応、300円~500円で様子見。
必ずテスト記事を投稿してもらう。
それから、様子を見て徐々に単価を上げていただければいいと思います。
こちらも相場はないんですが
私の場合は
アウトライン作成(600文字)=150-200円
加筆(500文字以上)=100円-150円
くらいでやってました。
記事の見出しの作成依頼・と簡単な要約
などのタイトルで募集してました。(反応見て何回か変えてます)
最初は数を少なくして、納得行く方にあたるまで何度も募集します。
1記事あたりの単価は1人に依頼するよりも高くなったりするのですが
それでもこの方が満足行く内容のものが上がってきたりします。
予算的に厳しい場合は
「アウトラインの作成」のみ外注化すればいいと思います。
記事のボリュームを上げる作業は自分でやってしまったほうが早いケースが多いです。笑
(ただ、ほとんどのランサーさんは「アウトラインの作成」とかやったことがないと思うので、
最初に作業マニュアルをしっかりと作成して上げる必要があります。)
りんやん様
お忙しい中、お返事いただきありがとうございます。
「外注する場合はいかに作業工程を自分で説明できるかが大事」ということですね。
今まではキーワードだけ決めて、それにもとづいて記事を書いてもらっていました。
でもこちらの記事を読んで、ヤフー知恵袋から悩みと解決策を抜き出してきたものを見て、
自分の言葉で書き直してもらう(リライト)ほうが効果的だと思いました。
その場合の文章構成についてですが、
書き出し
悩み
解決策
まとめ、行動
のような形で書いてもらうように、外注さんに指示すれば大丈夫でしょうか。
もっと細かい指示が必要でしょうか。
やはり良い外注さんを探すのは時間がかかりますね。
1000文字300円くらいでまず1記事お試しで書いてもらって、良い人探してみようと思います。
こちらでは主婦、子育てブログを推奨されていますが、いま自分は掃除関係、収納関係、ファッション関係、引越し関係、女性の悩みなどのサイトを運営しています。こういったジャンルでも記事を増やしていけば収入は上がってくるでしょうか。
このほかは商品名キーワードのサイトがたくさんあり、そちらからは売り上げがあがっています。
ただサイトの量産がけっこう大変なので、悩み解決サイトを増やしていって安定させたいと考えています。
記事の中で【Yahoo!知恵袋】での調査を自動化するマクロをプレゼント中。とあったのですが、こちらは今も有効でしょうか。
よろしくお願いします。
コメントありがとうございます。外注化が正解というものがないのでうまくいっている時はいいのですがうまくいってないときは本当に悩みの種ですよね。さて、書き方の支持ですが
流れ的にはこんな感じでいいと思います。
より具体的に、説明するのであれば
「今回はどんな悩みの解決方法を書きますか? 」
「それが解決することにより読者が得られるメリットはなんですか?」
「解決方法をできれば3つ以上教えてあげてください」
「そこに結び付くおすすめの商品やジャンルがあれば教えてあげてください」
このように質問形式にしてあげるとよりわかりやすいのではないかと思います。
実際、これを突き詰めていくと「タスク作業」でも
ただ単に
キーワード「育児 ストレス」で記事を書いてください
で募集するよりもはるかに質の高くわかりやすい記事が上がってきます。
プロジェクト形式などで募集するならなおさらです。
最初の質問のテンプレートをいくつか作っておくと非常にスムーズに行くと思いますのでぜひ参考にしてみてください。
どのような差異とかがさっぱりわからないので何とも言えません。
でも、女性の悩みなどは結び付ける商品がたくさんあります。
後は、その商品をどのようにして見せるかが大事ですよね。
でもやはり大事な事はそこに売れる商品があることだと思います。
「掃除関係のサイトを作った」→「このサイトで売れる商品はないかな?」
ではなく
「この商品は掃除テクなんかと絡めると売れそうだから掃除関連のサイトを作ろう」
最初にゴールである「売るための商品」を決めてサイトを作成するのが重要だと思います。
もちろん配布しております。コメント欄でURLを記載することはできませんので
お問い合わせから再度送信していただければと思います。
それではよろしくお願いします。
多分、マクロのことで問い合わせ欄からメッセージいただいたと思うのですが
マクロのファイルを送信したところ
「存在しないメール」
として、yahooから帰ってきてしまいます。
今一度入力されたメールが正しいかどうかの確認をよろしくお願いします。
もう一度お問い合わせからお送りしました。
お手数おかけしますが、ご確認をお願い致します。