アフィリエイト記事を外注する。
この作業、やったことがある人ならわかるだろう。十人十色どころではない。百人百色だ。
私がこれまで見てきたライターの中には:
- 文中で改行を全くしない人
- 文字数稼ぎのためかほとんどひらがなの人
- 記事をメッセージ欄に貼り付けて納品してくる人
- 「。」を「。。。」にして文字数を稼ぐ人
- 文末の8割が「〜です。」で終わっている人
まあ、色々いた。
しかし、AI時代の今、新しい問題が浮上している。
「AIを使っているライター」と「AIの使い方を理解しているライター」の決定的な違いだ。
今回は、お互い気持ちよく仕事をするための外注ライター人選について。特に、AI時代だからこそ見極めるべきポイントを中心に解説したい。
なぜ今、ライター人選がこれほど重要なのか
かつて、ライター選びの基準はシンプルだった。
- 文章が書けるか
- 納期を守れるか
- コミュニケーションが取れるか
しかし、AI時代の今は違う。
誰もがAIを使って「それっぽい文章」を量産できる時代になった。
つまり、「文章が書ける」という基準だけでは、もはやライターを選べない。
問題は、AIをどう使っているかだ。
AIに「〇〇について2000文字で書いて」と丸投げして、出てきた文章をそのまま納品する。こんなライターが急増している。
一見、文章として成立している。でも読んでみると、どこか薄い。誰に向けて書いているのかわからない。心に刺さらない。
これが「AIを使っているだけのライター」だ。
一方で、「AIの使い方を理解しているライター」は違う。彼らは:
- なぜAIに直接書かせてはダメなのかを説明できる
- 台本思考(構成→執筆の2段階プロセス)を理解している
- AIを「相棒」として使い、人間の体験や洞察を補強する
この違いは、記事のクオリティに天と地ほどの差を生む。
では、具体的にどんなライターを避けるべきか? そして、どんなライターを探すべきか?
【避けるべきタイプ1】提案文が短すぎる・または明らかに定型文コピペな人
「依頼文自体を読んでいない可能性が高い」
提案文が異常なほど短い。具体的には:
「初心者ですが頑張りますのでよろしくお願いします」
たった一言。しかもやっつけ感満載。
こういう人は、目をつけた依頼に手当たり次第に提案文をコピペしている可能性が高い。
あなたが依頼したプロジェクトへの提案というよりは、「おいしそうな案件に自分の提案文を送りまくっているだけ」の状態だ。
いざプロジェクトをスタートさせると:
- わかっているのは「何文字書けばいいか」だけ
- 「誰に向かって」「どんな文章を」書けばいいかは全く理解していない
結果、非常にとんちんかんな文章が出来上がってくる。
- 日記のような文章
- タイトルがキーワードそのもので、見出しの設定も全くない
- 適度な改行の設定も全くない
こういう人は、教育してどうにかなるものではない。クラウドソーシングを「そのようなもの」と捉えてしまっているため、提案を受けない方が無難だ。
特に注意すべきは、「その人しか提案がなかった時」。
再度依頼を出すのも時間がかかるので、「この人でいいかな」になってしまいがち。
でも、こういう人の性格は変わらない。面倒でも再度依頼を構築して、他の人の提案を待った方がいい。
【避けるべきタイプ2】実績がないのに変に自信満々な人
「マニュアルを渡しても極端に自分路線を貫く人が多い」
極端に自分のことを大きく見せたがる人もいる。
「今まで雑誌の編集ライターとして数十冊の出版に携わってきました」
しかし、ライターとしてのネット上の実績が0。これが嘘か本当か見分けるのは非常に難しい。
で、嘘でも本当でもどっちでもいいのだが、こういう人は:
こちらの要望を一切聞いてくれない。
「今回はOKですが、次からはこのようにしてほしい」という要望を伝えても、圧倒的な自信(もしくは変にプライドだけ高い)があるから聞く耳を持たない。
たとえ良い記事を書いてくれたとしてこちらが褒めても、「それぐらい当たり前です」みたいな感じで、コミュニケーションを取りつく術がない。
もちろんこちらも人間だ。こういう人に対しては、どんどん事務的になっていく。
結果どうなるか?
向こうの方が「こんなはずじゃなかった」としびれを切らして、短期間で離脱される羽目になる。
【避けるべきタイプ3】少ない取引回数で直接取引を持ちかけてくる人
「銀行振込をネットで行うのはかなり時間がかかる」
ランサーズやクラウドワークスでは直接取引は禁止されている。私的な見解としては「どうしてもそうしたい人はやればいい」みたいな感じで、それが完全にダメという意見は持っていない。
ただ、たくさんのライターでサイトを回す場合、たった1人のライターだけ銀行振込を適用するのは、こちらに非常に手間がかかる。
また、こちらが何回かして契約を打ち切る場合、「このクライアントは直接取引に応じてくれた」みたいな感じで腹いせに事務局にチクられる可能性もある。
まあ、こんなケースは稀だと思う。しかし、こちらの手間も考えると、確かに手数料が安くなるなど向こうにとってのメリットもあるのだが:
「毎回1人のためにネットバンクにログインして振込作業するのがめんどくさい」
という理由で、私はお断りしている。
【避けるべきタイプ4】LINE・GoogleChatでの直接通話を嫌がる人
「そもそもテスト的に応募しただけの可能性が高い」
私は、何回か続けていただいた方には、できる限り直接話すようにしている。
そうすることによって、お互いの信頼関係が圧倒的に上がるからだ。
ただ、やはり断ってくる人も少なからずいる。
過去の経験から言うと、わずか10分程度の通話も嫌がる人は、「そもそもこの案件を長く続けていく気はない」という人が多い。
なので、テストライティング時点でで話す作業は必要ないが、何回かしてからはできる限り取り入れていくようにしよう。
そしてここまで説明しても「お断りします」と言われる方は、そもそも長く続ける気もなく、信頼関係を築き上げるつもりもない。よほど質が良い記事を書いてくれる人以外は、継続は辞退させていただいている。
【避けるべきタイプ5】妙に事務的、2回目あたりで値上げを要求してくる人
「ライター歴が長い人に多い。悪くはないけど、その人だけ特別扱いはできません」
この場合は「長く続けていただいたボーナス」みたいな感じで対応して、1人だけ1記事の単価を上げることはしない。
そもそも、記事の単価を少し上げた位で記事の質が上がるとは思えないし、実際に上がった記憶もない。逆に、単価を上げてしまうと記事の質が落ちてしまうこともある位だ。
だからといって、「前の単価に戻します」とは言えない。
こういうやりとりは、非常にストレスになる。
特に、「そのサイトをたった1人の外注さんで回している場合、このような提案をされることが多い」ので、今現在は1つのサイトにつき最低でも3人以上のライターさんで回すようにしている。
あくまで、今回のプロジェクトを完了していただいた上で、記事の質が良かったらボーナスを差し上げる。しかもオーバーにはしない。適度な距離で付き合う方が良い。
【AI時代の新基準】本当に求めるべきライターの条件
さて、ここまでは「避けるべきタイプ」だった。
では、AI時代の今、本当に求めるべきライターとはどんな人か?
1. AIを使っているだけでなく、使い方の概念を理解している
これが最重要だ。
「AIを使っています」と言うライターは山ほどいる。しかし、「なぜAIに直接書かせてはダメなのか」を説明できるライターは圧倒的に少ない。
理想的なライターは、こう答えられる:
「AIに直接記事を書かせると、薄っぺらい内容になります。なぜなら、AIは体験や感情を持っていないからです。だから私は、まずAIに構成 / アウトラインを作らせて、それに自分の体験や洞察を肉付けする方法を取っています」
この説明ができるライターは、AIを使ったコンテンツ作成を理解している。
- AIに記事の構成(台本)を作らせる
- その台本に、人間の体験・感情・具体例を肉付けする
- 最後にAIで文章を磨く
この3ステップだ。
実際には、ライター独自の構成プロンプトを所有して、圧倒的に差別化できる記事が書けるのが理想だが、そこまでの意識のあるライターは存在しない。
ただし、これを理解しているライターは、AIを「丸投げの道具」ではなく「相棒」として使っている。
2. ChatGPT、Gemini、Claudeのいずれかで有料契約している
これは意外と重要な指標だ。
無料版しか使っていないライターは、AI活用に本気度が低い可能性がある。
逆に、有料契約しているライターは:
- AIツールに月々の投資をしている(本気度が高い)
- 高性能なモデルを使っているので、出力の質が違う
- 使用回数制限がないので、試行錯誤できる
特に、ChatGPT Plus、Gemini Advanced、Claude Proなどの有料版は、無料版と比べて出力の質が段違いだ。
提案文の中で「使用しているAIツール」を聞いてみるといい。有料版を使っているライターは、それだけでリテラシーが高いと判断できる。
3. 具体例を交えて説明できる
提案文で、こんな質問をしてみるといい:
「あなたがAIを使って記事を書く時の具体的なワークフローを教えてください」
優秀なライターなら、こう答えるはずだ:
「まず、キーワードと記事の目的を整理します。次に、AIに『このキーワードで検索する人が抱えている悩みを5つ挙げてください』と聞きます。その悩みをもとに、記事の構成をAIに作らせます。構成ができたら、各セクションに自分の経験や具体例を追加していきます。最後に、AIで文章を読みやすく整えます」
このように、具体的なステップを説明できるライターは信頼できる。
逆に、「AIを使って効率的に書いています」のような抽象的な説明しかできないライターは、「足臭い 対策 SEO記事 3000文字以上 上位になるように」こんな感じでおそらくAIに丸投げしているだけだ。これはAIへの指示とは言わない。誰でもできる作業は例えるなら「お湯だけで作れるカップラーメンを作って売ってる」ようなもので長続きはしない。
4. 「AIの限界」を理解している
これも重要な見極めポイントだ。
優秀なライターは、AIの限界を知っている。
例えば:
「AIは体験を持っていないので、実体験のセクションは必ず自分で書きます・もしくは伝えます」
「AIは最新情報を持っていない可能性があるので、事実確認は必ず自分で行います・もしくはリサーチツールを使う工程を挟みます」
「AIは感情の機微を表現するのが苦手なので、共感を呼ぶ導入部は自分で考えます・もしくは 感情表現の部分はあらかじめスワイプファイルのようにナレッジとして500ほどの表現リストを食わせておきます」
このような説明ができるライターは、AIを盲信せず、適切に使い分けている証拠だ。
逆に、「AIを使えば何でもできます!」みたいな万能論を語るライターは危険信号。
5. サンプル記事で「人間らしさ」が残っている
最後に、サンプル記事を見る時のチェックポイント。
AIに丸投げした記事と、AIを適切に使った記事の違いは、「人間らしさ」が残っているかどうかだ。
具体的には:
- 具体的な体験談や失敗談が含まれているか
- 読者への問いかけがあるか
- 感情的なトーンの変化があるか
- 意外な比喩や例え話が使われているか
これらがあれば、そのライターはAIを使いながらも、人間の視点を失っていない。
逆に、完璧すぎる文章、抑揚のない文章、当たり障りのない文章は、AIに丸投げしている可能性が高い。
「あなたが退屈に感じることなく最後まで読むことができるのか?」を判断基準にしよう。
AI時代のライター人選チェックリスト
まとめると、理想的なライターは:
基本条件
- [ ] 提案文が具体的で、依頼内容を理解している
- [ ] 実績と自信のバランスが取れている
- [ ] コミュニケーションに前向き
- [ ] 適度な距離感を保てる
AI時代の追加条件
- [ ] ChatGPT、Gemini、Claudeのいずれかで有料契約している
- [ ] なぜAIに直接書かせてはダメなのかを説明できる
- [ ] 台本思考(構成→執筆の2段階プロセス)を理解している
- [ ] 具体的なワークフローを説明できる
- [ ] AIの限界を理解している
- [ ] サンプル記事に「人間らしさ」が残っている
これらをクリアしているライターなら、長期的に良い関係を築ける可能性が高い。
精神的ストレスを減らすためのルール作り
最後に、これだけは覚えておいてほしい。
外注ライター選びでミスると、余計な精神的ストレスが増える。
せっかく安く外注できているにも関わらず、どうでもいいところの精神的ストレスが増えるのだ。
要するに、「記事作成」以外のところで悩まされることが多くなる。
だから、余計な精神的ストレスを増やさないためにも:
- 最初から明確なルールを作っておく
- そのルールは絶対に破らない
- 例外を作らない
他の部分ではフレキシブル(柔軟)に対応していいと思うが、この選定についてだけは自分で最初から一定のルールを作っておくことをお勧めする。
信じるべきはファーストインプレッション
自分の勘というのは結構当たるものだ。
ライターさんにもいろいろな方がいる。しかも、その人でなければいけないという理由はない。
お互い気持ちよくお金を払って記事を作成していただくためにも、こうしたルールは徹底していこう。
AI時代の今、ライター人選の基準は大きく変わった。
かつては「文章が書ける」だけで十分だった。しかし今は、「AIをどう使っているか」が決定的な差を生む。
「AIを使っているライター」ではなく、「AIの使い方の概念を理解しているライター」を見極めよう。
そして、最初のファーストインプレッションを信じること。提案文を読んだ時の違和感は、だいたい当たる。
あなたが求めているのは、AIを相棒として使いこなし、人間らしさを失わないライターだ。
そんなライターと出会えれば、あなたのコンテンツ制作は次のステージに進むはずだ。
色々と書いてきたが、結局のところ「AIを使える人材を採用し、教育していく」これに尽きるかもしれない
コメント