前回、私は「サチコは鏡だ、今すぐ登録しろ」と煽った。意気揚々とGoogleサーチコンソールのページを開いたあなたは、画面に現れた「2つの選択肢」を見て、そっとブラウザを閉じそうになったのではないだろうか?
プロパティを追加
このボタンを押すと最初にでてくるやつ。これが問題である。なんでいきなり2つの選択肢があるのか…
- ドメイン(左側のなんか難しそうなやつ)
- URLプレフィックス(右側のなんか簡単そうなやつ)
そして、謎の呪文のような文字列。「DNSレコード」「HTMLタグ」「アップロード」……。
おめでとう。これがGoogleからの最初の試練、「所有権の確認」だ。Googleは疑り深い。「このサイトは本当にオマエのものか? 赤の他人が勝手に覗き見しようとしていないか?」と、身分証明を求めているのだ。
この関所を通らなければ、サチコとは一生口をきいてもらえない。
左の扉(ドメイン)か、右の扉(URLプレフィックス)か
結論から言おう。男(女)なら黙って左側の「ドメイン」プロパティを選べ。
なぜか?Webサイトには、「http」「https」「wwwあり」「wwwなし」など、微妙に違う住所が複数存在することがある。右側の「URLプレフィックス」は、そのうちの「特定の1つ」しか管理しない。「https://mysite.com」で登録したら、「http://mysite.com」のデータは無視される。これは「1階のトイレの掃除はするが、2階のトイレは知らん」と言っているようなものだ。
一方、左側の「ドメイン」は、サイト全体を丸ごと管理下に置く。「この家にある全てのトイレを私が管理する」という王者の契約だ。
多少面倒でも、将来のことを考えれば「ドメイン」一択である。
恐怖の儀式:DNSレコード設定
「ドメイン」を選ぶと、Googleはこう言ってくる。「以下のTXTレコードを、DNS設定にコピーしてください」
ここで9割の初心者が思考停止する。「TXTレコード? DNS? 私はただブログを書きたいだけなのに、なぜハッカーのような真似を?」と。
大丈夫だ、爆弾処理のような見た目をしているが、ただのコピペ作業である。
- サチコが発行した「謎の文字列(
google-site-verification=...)」をコピーする。- これが「合言葉」だ。
- あなたが使っているサーバー(XserverやConoHaなど)の管理画面を開く。
- 「DNS設定」や「DNSレコード設定」という項目を探すのだ。見つからなければヘルプを見ろ。そこはGoogleの管轄外だ。
- 「レコード追加」をする。
- 種別:
TXT - 内容:さっきコピーした「合言葉」をペースト
- ホスト名:空欄か
@(サーバーによるが、だいたい空欄でいい)
- 種別:
- 保存する。
これだけだ。要するに、あなたの家の表札に「私はGoogleと友達です」というシールを貼る作業だと思ってくれ。
Googleの「確認できませんでした」という冷徹な塩対応
さあ、サーバー側で設定を保存した。意気揚々とサチコに戻り、「確認」ボタンを押す。
するとどうだ。赤い文字で「所有権を確認できませんでした」と表示されることがある。
あなたはパニックになる。「手順通りやったのに!」「サーバー壊したか!?」
落ち着け。DNSの設定がインターネットの世界に浸透するには時間がかかる。Googleはせっかちなのだ。「シール貼ったって言ったじゃん!見に行ったけどまだ貼ってなかったよ!」と即レスしてきているだけだ。
この赤いエラーメッセージは、あなたの心臓を止めるには十分な威力を持っているが、数分〜数時間待ってからもう一度押せば、あっさり「確認しました」と緑色に変わる。
焦るな。待つのも仕事だ。
逃げ道:どうしても無理なら「Site Kit」を使え
「DNSとか無理。蕁麻疹が出る」「サーバーのパスワード忘れた」
そんな技術アレルギーのあなたには、「URLプレフィックス(右側の扉)」を選び、WordPressプラグイン「Site Kit by Google」を使うという抜け道がある。
これは、Google公式の執事のようなプラグインだ。インストールして、Googleアカウントでログインして、「連携」ボタンを押すだけ。面倒なコードの埋め込みやDNS設定を、執事が勝手にやってくれる。
ただし、これはあくまで「簡易版」だと思っておいた方がいい。それに、プラグインを入れすぎるとサイトが重くなる。表示速度が遅いと、将来サチコから「お前のサイト、遅すぎてユーザーがイライラしてるぞ」と小言を言われることになる(この話は第9回でする)。
今日の教訓:身分証明が終われば、こっちのもの
無事に「所有権が確認されました」という緑色のメッセージが出たら、勝利だ。これであなたは、Googleという巨大な図書館に「私の本も置いてください」と申請する権利を得た。
だが、まだ喜ぶのは早い。管理画面に入っても、データは「処理中」で何も表示されていないはずだ。
「せっかく苦労して登録したのに、何もねーじゃねーか!」と叫びたくなるかもしれないが、サチコは過去を振り返らない。登録した「今日」からのデータしか取らないのだ。
次回は、いよいよサチコの画面の見方だ。期待して待っていても、そこには「掲載順位 58位」「クリック数 0」という、見なければよかった現実が待っているかもしれない。
その「絶望」との正しい付き合い方を、次回の講義で叩き込む。
(第2回 終了)
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