第9回サーチコンソール:コアウェブバイタルという小姑。「遅い」と「ズレる」は重罪だ

前回までは「記事の中身(味)」の話をしてきたが、今回は「店の居心地」の話だ。

いくらラーメンが絶品でも、注文してから出てくるのに1時間かかり、椅子がガタガタし、店員が注文を何度も聞き間違える店には、二度と行かないだろう。

Googleも同じだ。

「遅いサイト」「使いにくいサイト」を親の仇のように嫌っている。

サチコの左メニューにある「エクスペリエンス」。ここは、そんなGoogleの小姑根性が爆発しているエリアだ。

サチコのメニューにある「ウェブに関する主な指標」。

クリックすると、またしても意味不明なアルファベットが飛び出してくる。

LCP、FID、CLS…。

これらは、Googleが定めた「サイトの健康診断基準(コアウェブバイタル)」だ。

直訳すると「Webの重要な生命兆候」。つまり、これの数値が悪いと、あなたのサイトは「死にかけている」と判定される。

難しく考える必要はない。Googleが怒っているポイントはたった3つだ。

1. LCP(遅すぎる!)

意味:メインのコンテンツが表示されるまでの時間

Googleはせっかちだ。

「ページを開いて2.5秒以内にメインの画像や文章が出なければ、ユーザーはイライラして帰ってしまう」と考えている。

もしあなたのサイトが「不良(赤)」と判定されていたら、それは「前菜が出てくるまでに30分かかる店」だと言われているのと同じだ。

原因の多くは、「画像のサイズがデカすぎる」ことにある。

スマホで撮った数MBの写真をそのまま貼り付けていないか? それはWebの世界では「岩」を投げつけているようなものだ。圧縮しよう。

2. CLS(ズレる!)

意味:レイアウトのガタつき

あなたも経験があるはずだ。

スマホで記事を読んでいて、「次へ」ボタンを押そうとした瞬間、遅れて広告画像がヌルっと表示され、ボタンの位置がズレて、間違って広告を誤クリックしてしまったことが。

あの瞬間の殺意。

あれがCLS(Cumulative Layout Shift)だ。

Googleは、この「レイアウトのズレ」を極端に嫌う。ユーザーを騙す行為に近いからだ。

画像には必ず「サイズ(幅と高さ)」を指定すること。これだけで、読み込み時のガタつきは防げる。

3. INP(反応しない!)

※以前はFIDだったが、今はINPという指標が主流だ。

ボタンを押したのに、無反応。

「あれ?押せてない?」と思って連打したら、急に反応して二重注文になってしまった。

この「操作に対する反応の遅さ」がこれだ。

重たいプログラムが裏で動いていると起こりやすい。

もう一人の小姑:「モバイルユーザビリティ」

「ウェブに関する主な指標」の下にある、「モバイルユーザビリティ」。

ここをクリックして、もし「赤色」のエラーが出ていたら、即刻修正が必要だ。

よくあるのがこれだ。

「クリック可能な要素同士が近すぎます」

これはGoogleからの、非常に失礼なメッセージだ。要訳するとこうなる。

「お前のサイトのリンク、隙間がなさすぎて、ユーザーの太い指では押せないぞ」

行間を空けるか、ボタンを大きくしてあげよう。

スマホ全盛の時代、PCで綺麗に見えても、スマホで使いにくければ、そのサイトに価値はない。

結論:全部「緑」にする必要はない

ここで完璧主義者のあなたに伝えておく。

この指標を全て「100点満点(すべて緑)」にするのは、プロのエンジニアでも骨が折れる作業だ。

  • 「不良(赤)」 → これはヤバい。順位を落とされる原因になる。早急に対処が必要だ(画像を圧縮する、テーマを変えるなど)。

  • 「改善が必要(黄)」 → まあ、許容範囲だ。暇な時に直せばいい。

  • 「良好(緑)」 → 神。

個人ブロガーレベルなら、まずは「赤をなくす」ことだけを考えればいい。

多少表示が遅くても、中身(記事の内容)が面白ければ、読者は待ってくれる。……まあ、3秒が限界だが。

さあ、次でラストだ

ここまで、所有権の確認から始まり、記事を書き、インデックスさせ、小姑に文句を言われるところまでやってきた。

次回はいよいよ最終回。

「日々のルーティン:サチコとコーヒーと私」。

これまでの知識を総動員して、毎日何をチェックし、どうやってサイトを育てていくのか。

サチコとの「正しい付き合い方」をまとめて、このブートキャンプを卒業としよう。

(第9回 終了)

part 9 of 11 【講座名】 サーチコンソール講座『全11回』

サーチコンソール講座『全11回』

第1回:Googleサーチコンソールとは?アナリティクスとの定義の違いを解説

第2回サーチコンソール:サイト登録の最初の壁「所有権の確認」

第3回サーチコンソール:画面の見方と「絶望」との付き合い方

第4回サーチコンソール:クエリという名の欲望。検索パフォーマンス徹底解剖

第5回サーチコンソール:「URL検査」。待つな、クローラーを呼びつけろ

第6回サーチコンソール:サイトマップ送信。Googleへの「招待状」を送りつけろ

第7回サーチコンソール:インデックス未登録の恐怖。「検出」と「クロール済み」のミステリー

第8回サーチコンソール:掲載順位のウソホント。その「平均10位」は幻覚かもしれない

第9回サーチコンソール:コアウェブバイタルという小姑。「遅い」と「ズレる」は重罪だ

第10回サーチコンソール(最終回):毎日のチェックルーティン

【番外編】サーチコンソール:新規サイトの追加手順

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